映画の話

2009年09月24日

バーダー・マインホフ

気持ちがいい気候が続いた大型連休の間も、大学院生たるものやらなければいけないことに限りはないわけで、気がつけば大学に足を運んでしまった自分がいます。それにしても今年は秋の訪れがとても早いようで、大学のキャンパスに銀杏(ぎんなん)がちらほらと落ち始めているのは驚きです。

さて、気が付けば夏期休暇も終わり、今日から後期がスタートです。といっても、履修しているのは二コマだけなので、生活は全く変わらないわけですが、それでも気分を入れ替えて頑張っていこうと思います。



以前のように、勉強・研究生活の日常をつづるわけでもなく、気になった新刊書や読み終えた本の紹介をコンスタントにするわけでもなくなってしまったため、このブログをどう使っていくのかがいまいち定まっていない今日この頃ですが、「おはようからおやすみまで学界を見つめる」ようなことは知的変態サラリーマンに任せるとして、気が向いた時に駄文を書き連ねるというのがいいのでしょうか。

ブログ更新が滞るひとつの理由は、アルバイトの話や元外交官へのインタビューのプロジェクトなどここに詳細を書けないような活動が徐々に増えてきたことなのですが、もっと根本的な理由は、いま取り組んでいる論文にやや苦しんでいるからなのでしょう。本業の研究に決着がつかないと、なかなか他の事でまとまった文章を書く気にならないのは、まだまだ頭の切り替えがうまく出来ていないことによるものなのかもしれません。



e9d40d1a.jpg

あまりこのブログには書いていませんが、ちょこちょこと趣味の映画鑑賞は続けています。最近観た中で印象深かったのは「バーダー・マインホフ 理想の果てに」(公式サイト)です。ドイツ赤軍(RAF)を取り上げた映画で、「おくりびと」が受賞した今年のアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされていました。

さて、いつもは気分転換も兼ねて映画を観ているのですが、自分の研究している時代にほぼそのまま重なっていることもあり、研究を忘れるための息抜きにはなりませんでした(苦笑)。もっとも、普段は研究対象の関係で、権力側の視点からこの時代を見ているので、違った視点から同じ時代を視るのは新鮮なものです。

話自体は比較的史実に忠実に作られているようで、ドイツ赤軍の約10年を淡々と描いているため、背景の知識が無いとあっという間に話が進んでいく印象があるかもしれません。この映画が興味深いのは「淡々と」という点で、体制側・反体制側のどちらにも肩入れするわけでもなく、とにかく淡々と運動の盛り上がりと崩壊の過程を描いているところです。

色々と背景や事情を調べてからもう一度観たい映画です。

at 10:50|PermalinkComments(0)

2009年07月30日

夏休み!

授業が週二日しかない博士課程の大学院生であっても、夏バテに苦しもうとも、論文執筆に追われようとも、「夏休み」と聞くと何となくうかれてしまうのは人間の性というものでしょうか。

そんなわけで、先週末から映画を観に行ったり、野球を観に行ったりとちょこちょこと遊んでいます。明日からは四年前にも行ったROCK IN JAPAN FESTIVALに行ってきます。一度くらいはFUJI ROCKに行きたいのですが、相変わらず邦楽を聴き続けている自分にとっては、今回のROCK IN JAPANはメンバー的にもなかなか楽しみなところです。



cfd0e067.jpg

このブログには最近映画の話は全然書いていませんが、相変わらず趣味の映画鑑賞は続いています。今年も「フロスト×ニクソン」や「スラムドック$ミリオネア」等々、なかなか面白い映画がありました。

週末に観てきたのは、イタリア映画の話題作(といっても日本では二館のみの公開ですが)「湖のほとりで」(公式サイト)です。話自体はそれほど突飛なものではなく、ある田舎町で起きた殺人事件をめぐる謎解きが淡々と進んでいくというもので、ミステリーとして観てしまうと拍子抜けしてしまうこと確実だと思いますが、その背後にあるドラマや登場人物について考えてみるとなかなかいい映画だと思います。

「ニュー・シネマ・パラダイス、ライフ・イズ・ビューティフルに続く10年に一度の名作」という謳い文句に期待すると、「あれ?」という感じになるかもしれません。幾重にも張られた伏線がそのままになっていたりする部分もあるのですが、それもよくよく考えてみれば、観客に色々と考えさせられるしかけなのかもしれません。観た直後よりもちょっと経ってから、色々と考えが浮かんでくるという珍しい映画でした。



70ebb526.jpg

久しぶりに出版社のPR誌について。

7月号が高安健将先生の『首相の権力』特集ということで、図書館に『創文』を探しに行ったところ、7月号はまだ入っていなかったのですが、代わりに6月号に題したヨーロッパの国際政治史を専門とされている大学院の先輩二人の小論(戦後合意として機能した欧州統合――シューマン・プランが欧州レベルの労使協調「体制」を生み出した、という仮説――/戦後フランスと「日本問題」)が掲載されているのを見つけました。

以前にも書いたかもしれませんが、『創文』に掲載される小論はただの学術調のエッセイではなく、細かい部分の実証は博士論文や他の公刊論文で行った上で書かれているので、この分量であっても実に読み応えがあります。さらに小論という性格上、また狭義の専門を離れた読者にもそのメッセージが明確に伝わるように書かれているのがポイントです。

今回の二つの小論もそういった点でとても興味深く一気に読みました。欧州統合史やフランス外交史の視座から書かれた小論を自分の問題関心に引きつけ過ぎるのはあまりよくないのかもしれませんが、

「戦後合意として機能した欧州統合」は、一見すると戦後日本外交史という私の専門とはあまり関係しないように思われます。しかし、「戦後合意」の問題や労使協調の問題は、中北浩爾先生の一連の研究が示しているとおり、戦後日本外交を考える上でも非常に重要な問題です。もちろん統合を歩んだヨーロッパと日本は異なります。そうであっても、ただ日本を日本として眺めるだけでなく、他の地域の展開を常に意識しておくことは忘れてはいけない視点です。今回の小論で書かれていた点は主に1950年代のことですが、1960年代に入れば日本はOECDに加盟しますし、第一次石油危機以降はマクロ経済政策の協調といった問題があり日本とヨーロッパがダイレクトに繋がるようにもなります。「経済大国」化した日本を国際社会の文脈において考えようとすれば、1950年代のヨーロッパの経験はその重要な前史として押さえておかなければなりません。

国際社会の文脈の中での日本を考えてみれば「戦後フランスと「日本問題」」が投げかけているメッセージも重要です。対日講和に至る流れの中で、フランスはどのようにこの問題を考えていたのかを検討したこの小論のメッセージは極めて明確です。一般に戦後日本外交史を考えてみれば、そこに存在する外国とは圧倒的にアメリカです。中国を加えることも可能かもしれませんが、アメリカと中国の二国のみを考えてその中に日本を置いてみると、そこから見えてくるのは両大国の狭間に置かれた日本ということになるのは当然の帰結だと思います。学説史上は、イギリスの公文書を用いた重要な戦後日本外交研究があることもあり、アメリカの視点が若干中和されているとも言えますが、それでもアングロ=サクソン中心という点では偏っています。そこにフランスの視点を加えた時に見えてくるものは何か、ということにこの小論は一つの答えを与えてくれます。それは、フランスにとってこの時期の「日本問題」は「ドイツ問題」と同じように極めて政治的な問題だった、ということです。小論の末尾に書かれた文章、「その後のフランスの「日本問題」といえば、「インドシナ」という政治的軍事的足場を失うことによって脅威論は安全保障面ではなく経済面に傾斜していった。それでも日仏関係史が「政治性」を失うことはなかったということは付言しておきたい」。この一文を踏まえて、いかに自分の研究を進めていくかを改めて考えさせられました。

at 18:08|PermalinkComments(0)

2008年09月05日

Go To DMC(デトロイト・メタル・シティ)!

3b8a2b90.jpg


映画が観たい、といって昨日のエントリーではいくつか挙げたわけですが、時間の関係もあって観たのはなぜか「デトロイト・メタル・シティ」(公式サイト)でした。息抜きなので、考えさせられるような映画よりは軽めの映画がいいと思っていたのですが、よりによって「DMC」になるとは……。

「渋谷系」が比較的好きな自分としては、気恥ずかしい対象としての描かれ方に何とも言えない気分になりましたが、アホらしくていい息抜きになりました(メタルはちょっとバカにされ過ぎているような気もします)。評判通り松雪泰子のはじけっぷりはなかなかでした。

ただ、原作は全く読んでいないので、原作のファンがどう感じるかは分からないところです。40過ぎのカジヒデキが大学生役(?)でちらっと出ていて違和感があまり無かったのには驚きました。なぜかメタルよりはカジヒデキを聴きたくなりました。

次は、もう少しカタめの映画を観ようと思います。



近代に入ってから、ようやく勉強が面白くなってきましたが、語学の試験のように手応えが全く無いのが辛いところです。そもそも、日本外交史や日本政治外交史が専門ですと言っていても、戦前は全くの素人です。

外交に関してはそれなりに研究を読んできていますが、国内政治は坂野潤治や三谷太一郎などの大御所の代表作や、清水唯一朗『政党と官僚の近代』(藤原書店、2007年)、五百旗頭薫『大隈重信と政党政治』(東京大学出版会、2003年)など若手研究者の博士論文ベースの研究書を散発的に読んでいたきただけなので、なかなか「土地勘」が掴めません。

そんなわけで、今は歴史学研究会・編『日本史史料』を右手に、代表的な通史や教科書を左手に「土地勘」の習得と史料読解に努める毎日です。それにしても、手応えがありません。この作業をもうしばらく続けて、残りはひたすら出題するであろう先生たちの著作を読み返す作業にあてるつもりなのですが、ふとなぜ自分はこんなことをしているのだろうかと考え込んでしまいます。



相変わらず色々な研究書の刊行ラッシュが続いています。これまでに紹介した本も併せて、秋になったら読み込んで書評を書きたいと思いますが、ひとまず紹介まで。どれもまだ未入手なので、早く手許に揃えたいです。

a9dc08e7.jpg

一冊目は、日本政治外交史の研究書、村井哲也『戦後政治体制の起源 吉田茂の「官邸主導」』(藤原書店)です。博士論文を基にした本だと思いますが、研究蓄積の厚い占領期を対象にしつつ、その後の戦後政治史に繋がる経済暗転本部を政治史として描いている点が興味深く、読むのが楽しみです。

6dee57c7.jpg

二冊目は、イギリス外交史の研究書、小川浩之『イギリス帝国からヨーロッパ統合へ 戦後イギリス対外政策の転換とEEC加盟申請』(名古屋大学出版会)です。この数年、イギリス外交史は日本語でも本格的な研究書が相次いで刊行されていますが、外交史の中で経済の要素を取り込んでいる本書は、自分の研究を考える上でも必読文献だと思います。著者がこれまでに発表した論文は何本か読んでいるのですが、一冊の本にした時にどのような大きなストーリーとなってるのかが気になります。

b0e63341.jpg
a27c5927.jpg

三冊目は、前期の授業でウェストファリア条約を取り上げた際にちょっと目を通した、Benno Teschke, The Myth of 1968 :Class, Geopolitics, and the Making of Modern International Relations, (London: Verso, 2003) の待望の翻訳です。マルクス主義史学の影響が強い本ですが、国際政治史、国際政治理論に関心のある多くの読者に読まれるべき本だと思うので、こうして翻訳が刊行されたことは嬉しいです。

その横の画像は、上巻につづいて下巻が刊行されたトニー・ジャット『ヨーロッパ戦後史』(みすず書房)です。ともかく細かく色々なテーマが詰まっているので原書で読むのは大変ですが、日本語であればさくさく読めそうなので、ひとまず手許に置いて自分に関連する部分を読むことにしようと思います(確かこの本は、後輩がパリ政治学院に留学していた時にテキストで使っていたと言っていたような気がしますが…)。

本をじっくり読む時間が欲しいです。

at 17:45|PermalinkComments(3)

2008年09月04日

気になる映画達。

前回の記事では、やや福田首相の肩を持ち過ぎたような気がしますが、メディアの報道姿勢は、放り出し批判→それを「放り出し」て総裁選一色、となっているので、そうした中で首相の論理を説明するという点には意味があったと思います。

今回の報道のみならず、そもそも「ねじれ」ばかりを過度に強調する報道姿勢には違和感を禁じえません。昨年の参議院選挙以降の政局に特殊な点はあるにしても、例えば90年代末の自公連立以前や、55年体制成立以前の政治はそれほど安定的だったわけではないので、そうした歴史的な経緯をもう少し踏まえた報道があってもいいのではないでしょうか。



政局は日々動き続けているわけですが、合宿から帰ってきてからの自分の生活は、毎日午前中から夜まで大学で過ごすかなり単調な毎日です。天皇制の勉強がひとまず終わり、明治・大正期の勉強に移ることが出来たのは嬉しいのですが、過去問を眺めてみても、やはりこの試験は運頼みの要素が強いように感じてしまいます。



そんな単調な毎日を過ごしているからかは分かりませんが、衝動的に映画を観たくなります。以下は気になる映画達。

d0f52290.jpg

「この自由な世界で」を観たからか、今度は似たようなテーマでアジアを舞台にした映画「闇の子供たち」(公式サイト)が気になります。もっとも、映画を観る場合、早起きして渋谷へ向かいチケット購入→カフェで勉強→映画→昼過ぎに大学へ、というパターンになると思うので、観た後に明るい気分になりそうにないこの映画は危険な選択な気がします。

72a6856d.jpg
fbbb3513.jpg

もう少し明るそうなのが、「TOKYO!」(公式サイト)と「R246 STORY」(公式サイト)の二つのオムニバス映画ですが、この場合監督によって辺り外れがあるのが難点です。

84e7fc5d.jpg

特に理由はないのですが気になるのは「画家と庭師とカンパーニュ」(公式サイト)です。でも、一番観たいのはこれかもしれません。

2fc343cc.jpg

そんなわけで、気になる映画がたくさんあるわけですが、やはり最後に挙げるべきは「崖の上のポニョ」(公式サイト)です。が、ちょっと観る時期を逃したような気もします。これはテレビ待ちになりそうな気がします。

at 18:57|PermalinkComments(0)

2008年08月27日

夏の終わり?

この一週間は雨が続き、涼しいというよりも寒い毎日でした。

今日は久しぶりに晴れ間が見えているのですが、午後からは雨らしいです。オリンピックも終わり、いよいよこれで夏も終わりなのでしょうか。夏バテがひどい自分にとってはいい知らせなのかも知れませんが、あの暑さが無くなるのはそれがそれでさびしいです。暑い一日の終わりに飲む、ビールとかビールとかビールとか…。



再び映画の話。

7377c6cb.jpg

近くに大学もあり住宅街としても悪くはない駒場ですが、ガヤガヤうるさいだけの渋谷が近いのが難点です。でも、渋谷が近くて唯一いいのは、ふっと思い立って気軽に映画を観に行けることです。

金曜日に、論文の「草稿の草稿」を書き上げて向かえた土曜日。いつもの通り、大学へ向かおうと思って家を出たのですが、何となく気分が変わり髪を切って、映画を観ることにしました。といっても、特にこれを観ようと決めていたものもなかったので、ぶらぶら歩いて目に入ったポスターで決めたのが「この自由な世界で」(公式サイト)です。

日本語の題名「この自由な世界で」には、ポジティブな印象がありますが、原題の、It's a Free World...からは、何となくネガティブな印象を受けます。ケン・ローチの前作「麦の穂を揺らす風」を観ていたので、これは明るい映画ではないんだろうな、と覚悟して観ましたが、やっぱり、という感じでした。

でも、最近は日本に住んでいても実感する「外国人労働者」の問題を、シングル・マザーの主人公アンジーの視点から大胆に描いているのは、やはりケン・ローチらしいところで、観て良かったです。ちなみに、なぜ日本では「移民問題」と呼ばずに「外国人労働者問題」というのかはよく分かりませんね。

明るい気分になりたいのならばあまり薦められませんが、色々と考えさせられるいい映画だと思います。



そんな土曜日の午前中を過ごした後は、相変わらず試験対策、論文執筆、アルバイト、家庭教師に追われる日々を過ごしています。

その甲斐あって、先週末には「草稿の草稿」だった論文が、何とか「草稿」になりそうです。もう少し削らなければいけないかな、と思っていた字数がどうやらこのままでいけそうだということが分かり、そこからは一気に進みました。今後は注をチェックするとともに、もう少し論文全体にメリハリを付けられるように、毎日少しずつ作業を進める予定ですが、その前に明日からのゼミ合宿で先生にコメントを貰うことになっているので、コメント次第では一からやり直しになるかもしれません。

というわけで、明日から三日ほど、大学院の先輩の実家がある伊豆の某所での合宿に顔を出してきます。

at 13:57|PermalinkComments(4)

2008年08月21日

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』

久しぶりに映画の話。

da43e82d.jpg

先日、大学院の友人&今年大学院を卒業した友人達と、「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」(公式サイト)を観てきました。6月に「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(公式サイト)を観て以来、久しぶりの映画館でした。最近なかなか余裕が無く、観たい映画をいくつも見逃しているのが残念です。

「機動警察パトレイバー the Movie」(2の方が好きですが)を観て以来好きな押井守の最新作とくれば観ないわけにはいかないだろう、ということで行ってきました。監督の「今、若い人たちに伝えたいことがある」というメッセージを警戒しつつ観たのですが、そんな警戒感を吹っ飛ばして十分期待に応えてくれる面白い映画でした。

原作の小説、森博嗣『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(中公文庫)も買っていたのですが、迷った挙句に読まないまま観てきました。やや後半の展開が慌ただしいかな~、という印象もありましたが、観客を世界に引き込む冒頭の映像、心にくい細工、徐々に設定が明らかにされていく展開、などなどどれも自分の好みでした。観た直後というよりは、ふっと思い返している時に良さを再確認するような印象です。「近未来」よりも「パラレル・ワールド」といった方が正確なように思ったのは、なぜ戦闘機なのにレシプロ・エンジンなのだろうと思った自分だけかもしれません(この辺りの話は小説版に色々と出ています)。

ちなみに事前に全然情報収集していなかったのですが、加瀬亮と谷原章介の声は聞いた瞬間に一瞬で分かりました。加瀬亮は見事にはまっていたと思います。それから、どうでもいい話ですが、登場人物の名前が「函南」や「草薙」というところに静岡人として反応してしまいましたが、これは偶然なのでしょうか。もっとどうでもいい話ですが、軍事監修が岡部いさくだったことににも反応してしまいました。

結局、映画を観た日の夜に原作の小説を読み(正確にはシリーズが原作らしいですが、映画で描かれるのはほぼ『スカイ・クロラ』と同じ)、翌日にまた本屋に向かってしまいました。本当は刊行順に『ナ・バ・テア None But Air』、『ダウン・ツ・ヘヴン Down to Heaven』、『フラッタ・リンツ・ライフ Flutter into Life』、『クレィドゥ・ザ・スカイ Cradle the Sky』と読み進めて行こうと思ったのですが、『ナ・バ・テア』が無かったので『クレィドゥ・ザ・スカイ』を購入し、時系列的にさかのぼっていくことにしました。そんなわけで、この数日間夜の読書はひらすら森博嗣です。

一緒に観に行った後輩は、小説→映画の方が絶対いい、と押していましたが自分としては映画→小説でも悪くはないんじゃないかなと思っています。確かに映画→小説の順番だと、強烈な映像や押井守ワールドに影響されるような気もしますが、小説には小説の世界観があるし、「スカイ・クロラ The Sky Crawlers」はそれほど押井色は強くないようにも思います。

映画そのものについては、後輩がmixiで色々書いていたり、公式サイトの他に、特設サイト(リンク)や登場するという会社のサイト(リンク)まで用意されているので、そちらに任せるとして、観る前に「警戒」していた監督のメッセージについて簡単に。

『クレイドゥ・ザ・スカイ』の解説を押井守が書いています。押井守が他のところで色々書いたり話したりしていることには、共感することも共感しないこともあり、特に注目はしていなかったのですが、この解説はなかなかいい文章で、映画のメッセージがうまく書かれています。でも、この解説を読むと、この映画はやっぱり子供向けではないんだな、とも思います。監督のいう「若い人」とは、まさに自分たちのような二十代くらいのことなのでしょうか。まあ、このメッセージに共感するかしないかは人それぞれなんでしょう。このメッセージを映画から強く感じ取れば、ああ小説の方がよかったと思うような気もしますが、自分は映画は映画、小説は小説でそれぞれ楽しんでいるので、映画はこうかー、と思うだけです。

ともあれ、久しぶりに観た映画が面白かったので良かったです。今が大学生なら、このまま「うる星やつら」「パトレイバー1&2」「攻殻機動隊」「イノセンス」をダダダッと見返していたと思いますが、それは自粛せざるを得ないのが少し寂しくもありますが、これはこれでゆっくり楽しんでいこうと思います。ひとまず、もうしばらく夜は森博嗣ワールドで過ごすことになりそうです。



と、映画を観たり、それなりに過ごしていますが、昼間はひたすら試験勉強と論文執筆に追われる毎日が続いています。どちらもやや行き詰まり気味なので、うまく打開したいところです。



9300円……月曜日に情報公開関係で外務省に支払った金額です。

1970年代の日本外交を研究しようと思った時に、まずぶつかる壁が一次資料となる外交文書の公開状況です。1972年夏にハワイで行われた田中=ニクソン会談も外交史料館で公開されてはいるのですが、率直に言って研究に使えるレベルのものはほとんど公開されていません。もちろん例外的に開いている部分もあるのですが、日本の外交文書公開状況は、実質的にはまだ1960年代中盤で止まっているといっていい状況にあります。

そんなわけで、研究を進めていくためには情報公開法に基づいて情報公開請求をしていく必要があり、そのために毎月かなりの出費をしているわけです。幸い大学から外務省が近いこともあり、地方やちょっと離れた大学の方のように、郵送によって手続きを進める必要がないことは助かっていますが、それでも毎月コンスタントにかなりの金額が消えていくのは痛いです。

請求にかかるのは、まず請求手数料。これが一件につき300円かかります。もっとも、この300円は後で開示された際にかかる金額から引かれるので、中期的にはほぼ戻ってくるのですが、それでも20件の請求をするとそれだけで6000円もまず払わなければいけないのは辛いです。そして公開に際して、1枚につき10円、さらに細かく言えばCD-R代が100円かかります。コピーの紙を公開してもらって(この場合は100枚につき100円の手数料がかかります)、その場でデジカメ撮影という手もありますが、それにかかる時間とその後の手間を考えるとやはりDocuWorksのファイルで貰ってしまいます。

早く研究費を使える身分になりたいです(魂の叫び)。

at 14:53|PermalinkComments(0)

2007年11月19日

グッド・シェパード、めがね。

観たい映画は星の数ほどあれど、なかなか観ることが出来ないのがこの数ヶ月だ。どれだけ忙しくても、一日に一本映画を観ようと思えば観れると思うのだが、空いた時間を映画にあてるといった生活のリズムになっていないのだ。

それに関係しているのが、テレビの故障。我が家でメインに使っていたテレビが故障したため、今リビングに置いてあるのは俺よりも年上の骨董品のようなテレビだ。説明が面倒なので省くが、今まで観れたBSがこの数ヶ月は見れないのだ。NHKのBSでは、結構いい映画がやっているので、結構それを観ることが多かったのだが、それが今はまったくないのだ。

結果、10月は観た映画がゼロ本、という状況になっていた。11月になってからも相変わらずだったのだが、ちょっと前に「グッド・シェパード」(公式HP)を観た。確かにこれまでのスパイ物なんかとは違って、徹底的に人を描いているのは面白いのだが、細部がやや気になるのは、インテリジェンス関係の学術書を今年何冊から読んだからだろうか。

映画館で映画を観るのは本当にいい気分転換になる。これは何度もここに書いているような気がするが、映画館は映画を観る以外にすることがないし、何かに邪魔されることもない。家でDVDで観ると、トイレに行きたくなればすぐに行くし、生活音に邪魔をされることもある。やっぱり映画館で観る映画はいい。

再確認すると、うずうずしてくるのは根が映画好きだからだろう。先週の土曜、一時帰国中の師匠に研究相談をした後、時間が空いたので映画を観て帰宅。観たのは「めがね」(公式HP)。研究関係に頭を使った後は、「ゆるい邦画」が観たくなる。ゆるりとしたいい映画でした。

ちなみに土曜は、午前中に研究相談を終えて、「午後は休日にしよう」と思い立ったのだが、その後の過ごし方は…?図書館で師匠の修論&助手論をコピー、?ついでに近くにあった師匠の師匠の論文もコピー、?カフェでコーヒーとともに論文を味わう、?「めがね」、?帰宅し夕食を済ましてからE.H.カーの評伝を読む、というもの。

一日終わって、今日はゆっくり色々読めたし、映画も観れたし、研究相談もできたし、いい一日だった、と思ったのだが、よくよく考えると読んでいるものは論文と注付きの学者の評伝だ。別に小説でもよかったのだが、なんとなくこのチョイスになった。小説と論文が交換可能とは…、確実に「知的変態」になっている自分を再確認した。

at 19:55|PermalinkComments(0)

2007年09月30日

今月も終わり。

よく、生きている時間が長くなればなるほど同じ時間の感じ方が短くなっていくというけれど、本当にその通りだなと思う。九月もあと一時間弱で終わり。院ゼミだけなのでほぼ授業はないとはいえ、先週の水曜からは大学院の授業も開始され、夏休みも気が付いたら終わっていた。あの永遠のように長かった小学校時代の夏休みが懐かしい。

体調を崩したりして、色々な予定が大幅に狂ってしまった九月だが、全体としてみればいい一ヶ月だったように思う。フォースを求めてダークサイドに落ちかけた(翻訳:院棟にひたすらこもっていた)、七月に比べれば夏休みの最後は精神的に余裕があったような気がする。



夏休みは熱帯夜の供にしていたこともあって小説はかなり読んだが、その分映画はほとんど見れなかった。映画館で観たのは「天然コケッコー」(公式HP)と「エディット・ピアフ」(公式HP)の二本だけ。どちらも音楽がいい感じの映画でした。内容はほのぼのと壮絶の両極端。ちなみにこの間久しぶりに輩飲みをした時に「俺も観た」という声が相次いだのが「天然コケッコー」。24歳の男三人が「天然コケッコー」についてあつく語るというのはちょっとなあ…。

今とても観たいのが「LONDON CALLING/ザ・ライフ・オブ・ジョー・ストラマー」(公式HP)。内容は題名のとおりの音楽ドキュメンタリーらしい。問題は渋谷での上映が、今週金曜までということだ。何とか時間をひねり出して観に行きたいのだが…。

そんな感じで音楽モノ映画が気になっているわけだが、夏休みは新しく音楽を仕入れる間もなく終わってしまった。ひとまず欲しいのが、yanokami(矢野顕子とレイ・ハラカミのユニット)のアルバムだ。CDを買うのは思い立ったらすぐ出来るわけだが、なんとなくものぐさになってしまっていて行動に移さないまま二ヵ月近く経ってしまった。

10月は趣味にも時間を少し割いてゆったりと過ごしたい(現実逃避気味)。

at 23:20|PermalinkComments(0)

2007年07月21日

サッカーとアニメ。

久しぶりに早い帰宅をしてテレビの前に座った。というのもサッカー・アジア杯の準決勝があったからだ。スポーツは最初から全く観てなければ早々途中から観たくはならないのだが、一度でも試合を観てしまうとその後が気になって仕方が無い。そんなわけでアジア杯はこのままずっと観続けることになりそうだ。

サッカーの後には去年の夏に観た「時をかける少女」を放送するというので、もう今日の夜はゆっくりしようということにしたのだ。

サッカーの結果は、まあそういうことで、勝ったんだからいいでしょうということに尽きる。しかしPK戦は心臓に良くない。オシムの気持ちも分からなくもない。それにしてもベトナムは本当に暑そうだ。あと、審判が「スペースを消す動き」をするのはどうにかならないだろうか。前回の試合を観た時も思ったのだが、アジア杯は審判のレベルが低すぎる。

試合とはあまり関係が無いが、今回の結論はサッカーを観るならNHKに限るということ。何より実況の質やレベルが断然高いし、感情的でないのでゆっくり観ていられる。今回は現地で作っている映像なのかもしれないが、カメラワークの点でもNHKの方が民放よりはいい。基本的にサッカーの試合で選手の顔をアップにされても困る。

で、「時をかける少女」。サッカーの試合が終わるくらいから他局で放送だったので、そちらに切り替えてみるはずだったのだが、サッカーが長引いたので録画して見ることにした。録画しても変わらずきれいなのはデジタル放送のいいところだ。

2b420e13.jpg

何と言うか、一度観てよかったアニメ映画は安心して観ていられる。というかセリフ覚えていくし。昨年友人宅で「耳をすませば」を観た時のことをふと思い出した。小説や漫画とは違いアニメは特別好きというわけではないが、この映画はなかなかいい。原作(時代設定も主人公も違うが)、脚本、演出の全てが秀逸ということなんだろう。

at 23:55|PermalinkComments(0)

2007年07月17日

息抜きに映画。

リゲインの宣伝文句をブログの副題にしてみたり、仕事が終わった後に大学へ行ったりする生活を一ヶ月近くしていると、さすがにまいってくる。そんなわけで、今日は昼間ちょっと息抜きに映画を観てきた。

観たのは「アヒルと鴨のコインロッカー」(公式サイト)。原作↓

c3bbc50a.jpg

最近はすっかりミステリーというか、エンタメ系の小説から遠ざかっているので伊坂幸太郎の本など読んだりすることがないので、特に興味があったわけではないのだが、映画館でボブ・ディランを聞きたいというだけの理由でこの映画を観ることにした。

ものすごくいい映画、というわけではないのだが、ぱっと決めて観ても損はしない、といったところだろうか。取り立てて明るくも暗くもないけど、すーっと映画に入っていけるし、すーっと映画から抜けられる。最近の邦画は、こんな感じの作品が多い。

手帳を調べてみると、映画館に行くのは四ヶ月ぶりだった。んー、もう少しコンスタントに映画を観た方が気分転換にもなっていいんだろうな。

at 23:57|PermalinkComments(0)