2007年03月

2007年03月19日

編集という仕事。

先日ここで取り上げた編集者関係のある回顧録の書評が読売新聞に掲載されていた(リンク)。

新聞社の解説委員の書評であり、全体としてはエピソード紹介以上でも以下でもないという感じなのだが、最後の一言には納得させられた。曰く、

濃密な仕事ぶりに、いちいち感心させられるが、これだけの編集者が出した本にしては、内容にダブリが多いのはどうしたことか。過去に書いたエッセーや受けたインタビュー記事を、そのまま集大成したため3回、4回と同じ話が出てくる。きちんと削り込むべきだった。

編集者出身とはいえ、自分の本はしっかりとチェック出来なかったのか、それとも最初からしっかりとチェックをしていないのかは分からないが、やはり編集の「甘さ」を感じてしまう本だったというのは俺も感じたことだ。

編集関係では、『学士会会報』に最新号に掲載された小熊英二「一大学教師の履歴」という回顧録風の文章が面白かった。理系出身の著者が出版社へ就職し、その後在外研修制度によって東大大学院で学び、再び出版社へ戻り、大学へという遍歴が振り返られていて面白い。編集者出身の著者だが、編集者が提案してきた企画には基本的に乗らず、これまでの本は全て著者自身が企画し出版社へ持ち込んだものだという。

ちなみに『学士会会報』は大学の図書館では見当たらず、近所にある東大駒場の図書館で閲覧した。近所に他大学の図書館があるのは有難い限りだ。

at 23:58|PermalinkComments(0)日々の戯れ言 

2007年03月18日

フランス映画祭。



木曜日から各地で「フランス映画祭2007」が開催されている(公式HPには、上のバナーから飛べます)。

こういった企画は、大抵ちょっと安い値段で日本未公開の映画や公開前の作品を観ることが出来る。また、過去の名作をスクリーンで観ることが出来る場合もある。そんなわけで楽しみにしていてのだが、なかなか時間が合わずに観に行くことが出来なかった。

六本木会場は今日までということで、何とか時間を作って行ってきた。といっても観れたのは一作品だけだ。時間が合って当日券が残っているものという条件で選んだのは「心配しないで」という作品。

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同名の小説が原作という「心配しないで」は、日本未公開の作品。フランス映画を字幕無しでなどとても観れないので、一映画ファンとしてはなかなかうれしい。

パンフレットに載っている解説は、

監督フィリップ・リオレは、オリヴィエ・アダムの同名小説に、「僕たちの両親、兄弟、姉妹でもありえる登場人物を描く可能性を見出した」という。「原作の物語を通して、この映画は普通の人々が抱く素晴らしい感情を明らかにしてゆくんだ」。映画化に際して、監督と小説家は息のあったコラボレーションで脚本を書き上げた。さらに本作で見逃せないのが、リリ役メラニー・ローランの熱演。脚本にひと目ぼれした彼女と出会った監督は、ただちにヒロインに決定。精神的にも肉体的にもハードな役柄を、繊細かつエモーショナルに演じきっている。

で、ストーリーは、

バカンスから戻った19歳のリリは、双子の兄弟ロイックが、父親との激しい口論の末、家を出たと聞かされる。音信不通のロイックの身を案じたリリは彼を捜しに出かける。そこで彼女は、家族の絆を揺るがす発見をすることに……。

映像にしてしまうと、えーそんな話はちょっとなあ、と思うところも無いでは無いが、全体としてはなかなか良い話だった。原作の小説を読んでみたいが、日本語になっているのだろうか。

映画とは関係無いが、横に座ったおじさんの独り言が耳障りだった。雰囲気がぶち壊しだ。


at 23:47|PermalinkComments(0)映画の話 

2007年03月17日

キリン・ザ・ゴールド。

この数日、キッシンジャーの回顧録を読んでいる。

"White House Years"が『キッシンジャー秘録』(全五巻)と訳出されているのは知っていたが、"Years of Upheaval"は訳出されていないと思い込んでおり、英語で読んでいたのだが、最近ちょっと調べてみたところ『キッシンジャー激動の時代』(全三巻)として訳出されていることに気が付いた。勉強にもなるので英語で読んでも良かったのだが、ここは効率を優先して日本語に切り替えることにした。

歴史家でもあるだけにキッシンジャーの回顧録は読んでいて面白い。実際の外交活動はもちろんのこと、行間からにじみ出ている性格やニクソンとの微妙なすれ違いのようなものが非常に面白い。が、逆に言えばこれこそこの回顧録を注意して取り扱わなければいけないということの証左でもある。

一般にアメリカ人の回顧録の方が日本人のそれよりも面白いのは、果たして回顧録そのものの出来の差なのか、それとも両国の外交そのものの面白さの差なのどちらなのだろうか。…最近は、その両方なのではないかと思っている。

日本外交史研究の末席の末席にいるものとしては悩ましいところだ。



キリン約20年ぶりの本格的新商品「キリン・ザ・ゴールド」の試供品が、キリンに就職した友人から送られてきた。発売より数日前に新商品が飲めるというのは、酒好きかつビール好きの我が家にとっては大歓迎だ。

「隠し苦味」というコンセプトどおり、クラシック・ラガーやエビスのような飲んだ瞬間にくる苦味や濃厚な味は無いが、喉を通った後にくるほのかな苦味は悪くない。ゴクゴク飲んだ時のおいしさは、スーパードライと共通するものがあるが、キレよりも苦味というのがスーパードライとの違いといったところだろうか。

No Beer, No Life.

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2007年03月16日

3月16日。

卒論発表会でも感じた「あれから一年」という思いを今日も感じた。

今日はサークルの追いコンがあったのだが、自分の後輩が卒業して社会へ旅立っていくのを見送る気持ちはやや複雑だ。といっても、うちのサークルから社会に旅立っていくのは少数派なのだが。大学院進学者が5人もいながら、みな他大学へ進むというところに、自分の人望の無さが表れているというものだ。

ともあれ、サークルの中から少なくない人間が学究の道へ進み、そして実務へのステップアップのために進学を選択するという状況は、素直にうれしい。

卒業式の日あたりで、また同じ気持ちにかられそうだ。

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2007年03月15日

六時間半。

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先週末から読み始めた『華麗なる一族』。一冊約600頁で、上中下の三巻という大作だ。一気に読むとさすがに他のことが出来ないので、一日に一冊の三分の一ずつくらい読み続けてきた。が、昨日の夕食後に中巻の半ばくらいまで読んだところで物語が佳境に突入。そのまま勢いで朝四時半くらいまで休むことなく読み続けて、下巻まで読みきってしまった。

大作に相応しく、そして山崎豊子らしいラストは圧巻だった。残念ながら、読んでいるうちに徐々に昔の記憶が蘇ってきてしまい、ラストも思い出してしまったのだが、それでも圧倒されるラストだ。

モルトウイスキーのお湯割りを片手にクラシックを聴きながらの読書という、贅沢な夜(あくまで個人的には)にも昨日の深夜でしばしお別れということになりそうだ。

と思ったが、よくよく考えれば小説を学術書に持ち替えればこの生活は当分続けられそうだ。じっくり読むのに相応しい、博士論文を基にした本がいくつか積読状態になっているので、それに持ち替えてしばらくこの生活を続けることにしたい。

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2007年03月13日

ひと仕事終了。

半年かかった仕事が一つ終了。もちろん修士論文ではない。例のオーラル・ヒストリーです。

色々とインタビュイー側の事情があり、最終的な校正作業がここまで長引いてしまったのだが、今日無事に終了した。一応この後に、再度インタビュイーに最終稿を送ってチェックをするのだが、大きな作業は今日で終了した。今回の校正ではかなり大幅に訂正を行った。一院生がまとめたものを、これだけ詳細にチェックをして頂けるとは思っていなかったので、本当に有難い限りだ。

残念ながら今回のオーラルは、修士論文に直接関係するものではない。学部時代からオーラル・ヒストリーはそれなりに読んでいたが、自分がインタビューをしてオーラル・ヒストリーを作る側に回ったのは今回が初めてだった。作り手になると見えてくるものがあり、それは本当に貴重な経験だった。

ただ、冷静に振り返って今回のオーラルはややインタビュイーに恵まれたのかもしれない。それは内容面でも、事務作業の面でもそうだった。今後修士論文の関係で何人かにインタビューをすることになると思うが、今回ほどスムーズにはいかないのではないだろうか。

と、校正作業を終えて帰宅したところ、今回のオーラルのきっかけとなった「オーラル・ヒストリー夏の学校2007」の報告書が家に届いていた。こちらの報告書にはまだ校正途中のものを出してしまったので、やや心残りである。ともあれ、受講生の成果がこうやって出来上がると懐かしい気持ちになる。あれからもう半年以上経ったとは…。

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2007年03月12日

調子いいです。

最近、全体的に調子がいいです。といっても花粉症があるので、パフォーマンスは落ちています。逆に考えると花粉症でこれだけ調子がいいというのは、相当に調子がいいのかもしれない。

俺の場合、調子の良さは読書量に表れるようだ。趣味の小説はともかくとして、学術書から新書、教科書まで研究に関係する文献をこなすスピードがここ最近は明らかに上がっている。そんなわけで、ここで紹介したい本が何冊もたまってしまっている。実際は小説の『華麗なる一族』にはまってしまって、書評を書くのが面倒なだけでもある。

もっとも調子がいいとはいえ、やらなければならないことはたくさんある。修士論文関係では色々とやらなければならないことがたまっているので、今週はこちらの作業を中心にこなしていきたい。

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2007年03月11日

都心をドライブ。

最近、家庭教師へ行くのに車を使っている。週二回ほどだが、車に乗るのはいい気分転換になる。付属校&少し早めの誕生日のお陰で、高校三年の夏に免許を取って以来、もうかなりの距離を運転しているが、運転はどれだけやっても飽きない。

といっても特別車好きというわけではなく、モーターショーに行くわけでも、車をいじるのが好きなわけでもない。ただ運転するのが好きなだけだ。

人と比べて珍しいのは、運転をしていると性格が穏やかになることだ。車好きな人や運転が好きな人は、大概運転がうまくてもやや荒い人が多い。車好きの友人の運転で四国&九州に行った時は、クルーンの投げる球よりも速いスピードだったし、うちの家族にも運転すると性格が人間が数人いる。祖母に「抜かれても、抜き返そうなんて思わないように」と言われたこともある。

思いませんよ。

ともあれ、車に乗ると精神的にリラックス出来るのは便利だ。ちょっとした考え事をするのにもいい時間だ。何といってもやる事は安全運転を心がけるくらいしかないのだから、こんなにいい時間はない。

今日は家庭教師を終えた後、ドライブがてら大学まで行った。一応の目的は、ロッカーに溜まった本と、この間のOB会の時に持っていった過去の論文集を持ち帰ること。その目的は滞りなく達したのだが、改めて都心のコイン・パーキングは高すぎるな、と実感した。しかし都心の変なところは、コイン・パーキングのお金をケチって路上駐車している車に限って高級外車だったりすることだ。絶対おかしい。

都心、それも皇居近くの道は運転していてなかなか気持ちがいい。あの辺りだけは、ちゃんとした都市計画を行ったということなのだろうか。道は広いし、日曜の昼間ならそれほど車も多くない。その一方で、渋谷や六本木など繁華街近くはとにかく運転しづらい。路駐は相変わらず多いし、歩行者も信号無視だ。

田舎の道をドライブするのもいいが、たまには都心をドライブしてみるのもいいものだ。

と思ったら、帰り道で雹に直撃される。雪なんかよりもよっぽど運転がしづらいから困った。

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2007年03月10日

3月10日。

この3月10日が、戦前は陸軍記念日だったということを今はどれだけの人が知っているのだろう。その陸軍記念日の謂れは、日露戦争における奉天会戦での勝利である。

そんな話はともかく、今日は久しぶりに若手外交史研究者の研究会に参加してきた。

今回の発表は、書き上げたばかりの修士論文を基にした発表。取り上げている時代がほぼ自分の専門と重なることもあり、内容面だけでなく形式や資料の使い方の面からも興味深く発表を聞いた。資料が限られている時代の歴史研究の難しさ、取り上げている問題のレベルや質を精査することの大切さを痛感させられる。

外交史研究に求められる資料の使い方や読み込みはもちろんのこと、実際の政策過程に関する知識、政治科学的な思考、そういったものも論文を書く際には重要になるのだ。こう書くことは簡単だが、それを自覚的にやっていくことは大変な作業だ。

と、真面目な気持ちで色々と考えた後はいつものように懇親会へ。座った席の関係もあり、今日の結論はまたいつもと同じだ。

「口は災いの元」

気をつけて、生きていきます。

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2007年03月09日

卒論発表会。

あー年取ったなー、と感じる瞬間がいくつかある。その一つは、同じ行事(?)のようなものに違う立場で参加した時だ。今日はその一つである、「卒論発表会」に参加してきた。

昨年は先生や先輩の院生達もいたし、一人あたり30分弱の持ち時間で半日かけてやった大きなものだった。今年は先生がサバティカルで在外研究中ということもあり、こじんまりとやった。元々、今年の卒業論文は義務でも何でも無く、書きたいという意欲を持った有志のゼミ員が執筆したものだ。

テーマも人それぞれで、各論文のキーワードをざっと挙げると「林董」「ブレスト=リトフスク条約」「ド・ゴール」「人間の安全保障とポスト構造主義」「戦犯釈放」「旧ユーゴ紛争」といった感じだ。今回は各執筆者に、他のゼミからゲスト二人を加えての合評会だった。発表者の数人とは、先輩後輩という関係ではなく仲の良い友人として付き合っているので、俺も参加した。

全ての論文をしっかりと読んだわけではないが、どの論文も学部生の卒業論文としては十二分に書けているし、書き手の「やる気」や「思い」が伝わってくる論文だった。日本語だろうと英語だろうと必要な文献はしっかり読む、必要であるならば一次史料にもあたってみる、そんな姿勢をみながみな進学志望でない学部生の卒業論文に共通して存在していることは素晴らしいことだと思う。

みんなの発表を聞き、自分の修士論文を頑張らなければという思いを強く持った。

と、気合いを入れ直して研究のみに没頭するのかというとそうでもないのが、人間の性だ。帰宅後、昨日に続いて映画を一本鑑賞した。といっても今日はDVD。

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松田優作主演の「家族ゲーム」だ。「空中庭園」と「アメリカン・ビューティー」を最近観たばかりなので、何となくその流れで観てしまった。でも、率直に一番の傑作は「家族ゲーム」だと思う。何より松田優作が恰好良い。松田優作の作品は結局ここに行き着いてしまう気がする。この作品が公開された80年代前半は、邦画の退潮期で最も元気が無かったと言われる時代だが、やっぱりどの時代にもいい作品というのはあるんだなと再確認した。

あくまで個人的な感想だが、森田芳光監督の作品は、出来不出来の差というか自分の中での好き嫌いの差が激しい気がする。「家族ゲーム」は「阿修羅のごとく」と並んで、最高の出来だ。

at 23:52|PermalinkComments(3)映画の話