2010年05月25日

見事な大外一気(NHKマイルカップ)/本の話(備忘録)

いよいよ今週末にダービーということで、春のGIシーズンもいよいよ盛り上がって来ました。

さて、遅ればせながらという感じは否めませんが、見事な大外一気(※読み方は「オオソトイッキ」)が決まったNHKマイルカップの動画をアップしておきます。4コーナー(1分5秒辺り)ではほぼしんがりにいるダノンシャンティ(13番)の追い込みは素晴らしいです。



まだまだ二コーナー辺りをうろうろしている大学院生活でも大外一気を決めたいものです。



先週から寝かせていた論文執筆を再開し、手許にある資料や外交史料館での資料調査を進める日々を送っています。自分の研究に取り掛かると時間が無くなるはずが、なぜだか読書量も増えていくというのが不思議です。

備忘録代わりに以下、この1週間で読んだ本と購入した本を挙げておきます(版元情報があるものは画像にリンクを貼ってあります)。

最近は新書がなかなか豊作です。

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画像がややぼやけていますが、帯の「希望」売りがヒントになるかもしれません。宇野重規先生の新著『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書、2010年)です。昨晩読み始めて今朝読了。

サリンジャーがあれだけ昔から読まれているのだから、〈私〉の時代が最近始まったわけではないだろうと、斜に構えて読み始めたのですが、論旨明快、(昔から存在していたかもしれないけれども)「いま」の時代に顕在化したと言われる悩みをクリアに解きほぐしている好著だと思います。この本に「答え」を求めると、何だ最後は精神論か、と落胆してしまうかもしれませんが、それでいいんだろうなというのが個人的な感想です。

考え方や生き方が古臭く、「再帰的近代化」とか「ポストモダン」とかが体質的に合わない私自身は全く抱えていない問題の数々をいかに現代の社会思想・政治思想が考えてきたのかが整理されているので勉強になりました。読んで良かったとは思うものの、依然として斜に構えたままです(笑)。

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研究の合間に先週後半読んでいたのが瀧井一博『伊藤博文――知の政治家』(中公新書、2010年)です。伊藤之雄先生を中心に進められていた伊藤博文リビジョニズムの最後を飾る一冊という位置付けになるのでしょうか。

これ一冊で伊藤の生涯が見えるわけでも、伊藤を通して明治の政治史が分かるわけではないという点では、やや玄人向けの本で新書という媒体が合っていたのかは分かりませんし、この時代を専門に研究されている方がどのように評価されるのかは分かりませんが、伊藤の「政治思想」を抽出という本の目的は見事に成功しているように思います。

本書を通して強調されるのは、伊藤の「漸進主義」と、科学的思考の強さです。それゆえ、国内でも朝鮮半島でも伊藤はナショナリズムに苦労させられることになるわけで、この辺りが読んでいて面白かったです。本書が描き出す、上滑りの「理想主義」でも現状追認の「現実主義」でもない伊藤の姿は確かに「知の政治家」なのでしょう。

国内政治の議論をしている部分で強調される「漸進主義」はよく理解出来ましたが、国内政治の議論の延長として「外交」を論じているのは若干気になりました。当時の「外交」はむしろ他の列強に向けて行われたもので、本書が取り上げている中国や朝鮮半島との関係は果たして「外交」だったのでしょうか。

戦前の日本政治史はほぼ趣味で読んでいるだけなので、この本に専門家がどういった反応を示すのか興味があります。

新書が飽和状態になり、やや軽めの本が増えつつある中で、読み応えがあるものを出し続けている中公新書の存在は大きいと再確認しました。

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そんな中公新書の今月の新刊を早速購入しました。篠原初枝『国際連盟――世界平和の夢と挫折』(中公新書、2010年)です。合わせて同じ出版社の竹中治堅『参議院とは何か――1947~2010』(中公叢書、2010年)も購入。

『国際連盟』は、大学院の後輩に戦間期のヨーロッパ外交を研究している後輩が何人もいるので、彼らの感想も聞いてみたいところではありますが、その前に自分で読まなければと思う一冊です。この数年の出版事情で言うと岩波書店から『国際連合』が出ていますが、その中で中公からは『国際連盟』が出るというのが渋いですね。

後輩がよく言っているのが、戦間期という時代の面白さです。戦争が終わり、そして戦争が始まる、同盟関係も固定的ではないという戦間期は確かに面白いと思いますが、そうした不安定な時代ゆえに、なかなか見通しが掴めない気もします。国際連盟の夢と挫折が戦間期という時代の中でどれだけの意味を持っていたのか、そんなことを考えながら読み進めたいと思います。

竹中治堅先生の『参議院とは何か』は、満を持しての刊行ということになるのでしょうか。本を手に取り、学部時代に慶應に授業に来ていた際も参議院の役割についてしばしば強調されていたことを思い出しました。政治学者が一人で書く通史的研究は、非常に重要だと思うのですが、日本ではなかなか目にすることがありません。『年報政治学二〇〇四』に掲載された論文以来、ずっと竹中先生の参議院研究を追いかけてきただけに、これは読むのが非常に楽しみです。

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と、こんな感じで研究に関係ないものばかり読んでいるのもまずいので、毎日少しずつ国際関係論の勉強を進めています。色々と基礎的な知識を勉強した思い出があるInternational Political Economy: Perspectives on Global Power and Wealth, 4th Edition, (London: Routledge, 2000)の編著者であるJeffry A. FriedenとDavid A. Lakeに、Kenneth A. Schultzを加えて書かれた教科書World Politics: Interests, Interactions, Institutions, (New York: W.W.Norton, 2010)、これが素晴らしい出来です。

以前にブログで紹介したJoseph S Nye, jr, and David A. Welch, Understanding Global Conflict and Cooperation, 8th Edition, (New York: Pearson Longman, 2010)[『国際紛争』第8版]も素晴らしい出来の教科書ですが、最新の研究動向や理論を押さえているという点ではWorld Politics の方が格段に優れているような気がします。といってもまだChapter3までしか読んでいませんので、確定的なことは言えませんが。

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国際関係の勉強では、先週某所で話を聞く機会があった小川和久氏の新著『この一冊ですべてわかる 普天間問題』(ビジネス社)を土曜日に一気に読みました。約1時間で普天間問題の背景が理解出来る、というのがこの本の売りだと思いますが、その役割は十分に果たしてくれる本だと思います。普天間問題そのものだけでなく、その背景にある在日米軍基地全体の問題、日米同盟、日本の安全保障政策について、語り下ろし形式で書かれており、少しでもこの問題に関心があるのであれば読んで損は無いです。(というか、偉そうに上から「鳩山さんが、国民の間でこの問題が議論される素地を作った点は評価されるべきだ」とか言う人にまず読んでほしい)

これが面白かったので、ついでに『日本の戦争力』(新潮文庫、2009年)、『在日米軍――軍事占領40年目の戦慄』(講談社文庫、1987年[絶版])も購入してしまいました。小川氏の議論には批判があることも承知していますが、最低限押さえておくべき事実と数字を踏まえた立論はとても勉強になるので、空いた時間に読み進めていくことにします。



と、こんなことを書いている内に昼休みが終了してしまいました。


black_ships at 12:58│Comments(0)日々の戯れ言 | 本の話

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