2010年04月17日

積読増加中

博士課程に進学した辺りから段々と更新が面倒になり、はじめは備忘録代わりに毎日書いていたはずのブログの性格が変わって来てしまいました。気が付けば並ぶエントリーは大学院の授業の話ばかりということで、これではあとで自分で振り返ってもあまり使えないし、せめて読んで印象に残った論文や買った本、読んだ本を出来る限りここで紹介していった方がいいだろうなとふと思ったのが昨晩のことです。そんなわけで、月7日間(8時半~17時15分)行っていたアルバイト先をこの3月で辞めた結果、ある程度時間も出来たのでもう少し更新数を増やしていこうと思います。



手始めは今日買った本について。なぜか戦前と経済関係の本が多いです。

※今回から版元情報がある場合は画像にリンクを貼っておきます。

Pierson

まずは今日生協に行った目的の本。社会科学において定性的アプローチを採ろうとするならば必読であろう一冊、ポール・ピアソン『ポリティクス・イン・タイム――歴史・制度・社会分析』(勁草書房)です。訳者は大学院の先輩(面識はありませんが)、監訳者のお手伝いをゼミの後輩がしている関係もあって刊行されるということは聞いており、早く手に入れたい一冊でした。

怠惰な性格なので、本書第一章の基になった論文("Path Dependence, Increasing Returns, and Political Science," American Political Science Review, Vol. 94, No. 2, June 2000)をパラパラと読んで「これはピアソンをちゃんと勉強しないと」と思ったまま放置していたので、邦訳が出たのを機に勉強したいと思います。

tsutsuiito5

ピアソンの本を手にとっている時に目に入ってきたのが↑左の筒井清忠・編『解明・昭和史――東京裁判までの道』(朝日新聞出版)です。たまたま、先日大学のある先生と昼食をご一緒した時に、「朝日新聞から一般向けに出す本の一章を書いた」というお話しを伺ったのですが、どうやらこの本のことだったようです。

執筆陣の多くは第一線で活躍する年齢的には中堅クラスの歴史家であり、幅広く読まれるべき本なのだと思います。編者が言うように、「現在、研究の第一線と一般書の間にはすさまじいまでの懸隔ができてしまい、この溝は埋められないままに放置されたような状態となっている」(4頁)のは間違いないです。そうした中で「この溝を完全に埋めようというのが、本書の基本的趣旨」ということで、「完全に埋め」るのは無理だとしても、一般書として第一線の研究成果が社会に発信されることに意味があるのでしょう。

それにしても、この体裁や題名・帯はどうにかならないかなと思ってしまいます。が、こうした体裁の本を読むような人たちに向けて売りたいのであれば仕方が無いのかもしれません。

↑右の伊藤之雄『日本の歴史22 政党政治と天皇』(講談社学術文庫)は、単行本も持っているにも関わらず、ついつい購入してしまいました。最近刊行されている著者の本はとにかく分厚いことに定評がありますが、この本は厚いことは厚いですがあくまでも通史の一冊であり、より読みやすい仕上がりになっていると思います。学術文庫版あとがき(371-376頁)を読んで楽しめるようになってしまったのは、趣味の読書としての戦前日本政治史研究をこの数年間読み続けてきたからかもしれませんが、ともあれこれは読み返したい一冊です。

mitani

戦前の本を書いたついでに三谷太一郎『ウォール・ストリートと極東――政治における国際金融資本』(東京大学出版会)について。この本については刊行直後にもこのブログで取り上げましたが、結局いまのいままで購入していませんでした。最初は生協に並んでいなかったからという理由だったのですが、注文をすればいいだけなので単に自分が怠惰だったからです。

この本の基になった論文のいくつかはもちろんこれまでも読んでいます。しかし、論文集の体裁を取っていたとしても一冊の本としてまとめられた時にどういった研究になるのかにとても強く関心があります。

また、ここで扱われているのが国際金融というのも重要です。国際金融については経済学ではもちろん膨大な数の研究がありますし、経済史の分野でもそれなりの研究が存在します。しかし、政治学の分野でこの問題を扱った研究の多くは、アメリカ流の国際関係論に基づいたものであり、分析の鮮やかさやアプローチの面白さはあっても、正直なところ歴史研究を読むような深さや洞察に欠けるような印象を持つものが少なくありませんでした(もちろん例外はありますが)。この本については、読み終えてからもう少しちゃんとした形で紹介することにします。

fujiwara

ここまでの流れとは全く関係なく、藤原帰一『新編 平和のリアリズム』(岩波現代文庫)が新刊として並んでいたのでついつい購入。旧版は持っていないのでちょうどいいなと思って購入したのですが、「あとがき」によれば、旧版は「良い本を書いた手応えがなかった」ので、「この新版は、岩波現代文庫に再録するのを機会に、古い原稿を削り、学術論文も含む新稿をを加えたもの」(449頁)だそうです。旧版刊行後に論壇誌に載せた論考も含まれていてお得感があります。

nei2neiFerguson

最後は経済シリーズの三冊。左から、根井雅弘『入門経済学の歴史』(ちくま新書)、根井雅弘『経済学の歴史』(講談社学術文庫)、ニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』(早川書房)です。

今年に入ってから経済思想史や経済学史に触れる機会が多く(木曜日のプロジェクト科目もその一つです)、もう少し関心を広げてみようと思い、定評ある著者の本を読んでみようと左の2冊は購入しました。『マネーの進化史』は原著が家で積読になったままになっているので迷ったのですが、効率を考えて邦訳を購入してしまいました。



こう並べてみると本を買い過ぎなような気もしますが、研究の息抜きに読み進めていくことにしたいと思います。

black_ships at 14:21│Comments(2)本の話 | 日々の戯れ言

この記事へのコメント

1. Posted by maco@翻訳者   2010年05月20日 23:38
ピアソンのご紹介ありがとうございます.Sくんでしたよね.いずれ,面識ができればいいですね.
2. Posted by 管理人   2010年05月21日 09:34
>maco様

コメントありがとうございます。同じ大学院でも、比較政治(地域研究)と国際政治(日本外交史)と分野が違い、学年が違うとなかなかお会いする機会もありませんが、Tさん@フィリピンからよくお話を伺っておりました。ピアソンは、いまだ積読中ですが、私の問題関心にも見事に合致する本なので、熟読していずれこのブログでも改めて紹介したいと考えています。

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