2010年04月10日

新年度の授業

今週から新年度の授業(ガイダンス)が始まりました。

大学院生とはいえ、いまだに学生生活を続けているからか、新しい学期の始まりは何とも言えないワクワク感があるものです。といっても、授業がメインの修士課程とは違い、博士課程は自分の研究があくまで中心であり、それほど授業を取る余裕もありません。とりわけ、今年度は諸事情により書かなければいけない論文が3本あるので、なかなか時間的には厳しいです。

そんなわけで春学期に履修する授業は、師匠の特殊研究と、毎年出ているプロジェクト科目(政治思想)の2つだけになる予定です。

後輩某(と担当する先生ということになるのでしょうか)から、Andrew Heywood, Political Theory: An Introduction, 3rd Edition, (Palgrave Macmillan, 2004) を輪読する政治思想の授業を受けないかというお誘いを受けたのですが、これをどうするかをかなり迷っています。各回で読むページ数もそれほど多くなく、失いかけている「国際」が付かない政治学の素養を取り戻すいい機会にもなると思うのですが、この授業を取ってしまうと後期の授業が4コマと、1コマは院ゼミとはいえ、博士課程の院生としてはやや授業を取り過ぎているような気もします。

課題量が多い授業があるわけでもないので、大した負担ではないような気もするのですが、今年度は海外資料調査に最低でも1回、場合によっては2回行くことになりそうなので、そういったこととの兼ね合いも考えなければならず、なかなか悩ましいものです。

Welch2

師匠の特殊研究は、David A. Welch, Justice and the Genesis of War, (Cambridge: Cambridge University Press, 1993) の輪読です。ウェルチ先生の博士論文を基にした研究書で、ラショナリズム全盛で徐々にコンストラクティヴィズムが出始めた時期に、主流のラショナリズムに真っ向から立ち向かいつつも、コンストラクティヴィズムとは異なるアプローチを採っている辺りがこの本のポイントになるのでしょうか。まだパラパラと最初の辺りを眺めてみた程度なのですが、例のごとく論旨明確かつ平易な英語で非常に分析的なことが書かれているので、とても勉強になりそうです。

Nye and Welch

ウェルチ先生と言えば、↑も触れておかなければならないと思います。ジョセフ・ナイの名教科書であるUnderstanding International Conflict: An Introduction to Theory and Histry (邦訳『国際紛争』)の第8版です。第8版に当たって、題名がUnderstanding Global Conflict and Cooperation に変更され、共著者としてウェルチ先生が加わりました。

共著者に加わるという話は以前から聞いていたので、刊行を心待ちにしていました。3月末に入手してから、息抜きがてら少しずつ読み進めているのですが、これは素晴らしい出来です。学部生向けの教科書とはいえ、抜群のバランス感覚に加えて、ウェルチ先生が加わったことによって、より最新の理論動向も踏まえた加筆や、ややミスリードではないかと私が感じていた部分を含めて様々な修正が細部に渡って行われており、これまでの版以上に高い評価を受けるのではないでしょうか。

これまでに読んだ部分では、ペロポネソス戦争の部分の記述に色々な留保が付けられている点が印象的でした。ウェルチ先生には、“Why International Relations Theorists Should Stop Reading Thucydides,” Review of International Studies 29:3 (July 2003) という論文があるので、この辺りは明らかにウェルチ先生がかなり修正しているな、と思わせるところです。

プロジェクト科目は、正式には「プロジェクト科目I・政治思想研究」という授業名で「政治思想研究の新しいアプローチ」という題目(?)が付けられています。初回のゲストの先生は、私が昨年からリクエストしていた先生なので非常に楽しみです。もっとも、楽しみなだけでなく、それなりの討論を用意しなければならないので、そこが若干不安でもあります。一昨日のガイダンスで挙がっていたゲスト候補がとても豪華メンバーだったので、今期はなかなか期待出来そうです。

ちなみに後期の授業は、上記2つの授業に加えて、ロシア政治外交史が専門の横手先生が開講される特殊研究「冷戦史」を取る予定です。この授業はゼミの後輩と共に、以前から先生に強くお願いして実現した授業だけに、いまからとても楽しみです。



新学期と言えば、大学の図書館システムが全面リニューアルになりました。他大学と比較すれば、慶應の図書館は蔵書やデータベースはかなり充実していると思うのですが、私が大学院進学以降は、それまで買っていた外交文書集やマイクロの資料集が入らなくなったり、データベースが打ち切りになったりとあまりいいニュースがありませんでした。

そんな中で、今回のリニューアルは利用者にとってかなり恩恵が大きいです。貸出冊数が増え(院生の場合は1図書館15冊→20冊)、これまではわざわざカウンターに行かなければいけなかった延長がオンライン上で出来るようになり、さらに延長回数が1回から2回に増加、等々。他にも、ほとんどのサービスがワン・クリックで出来るようになり、気になる文献をリンクしておく機能が付いたり、全体として利便性が大幅に向上しました。

新学期と言えばもう1つは、キャレルの移動です。昨年度は日当たりの良い南側の窓際という素晴らしい場所だったのですが、「諸々」の事情が重なりあまり研究環境が良いとはいえない席でした。今年は、北側ということで日当たりは全く良くないのですが、7階の席が取れたので、人が6階ほど多くなく、今日などほぼ貸し切り状態で素晴らしいです。若干ではありますが、机も少し大きいような気がします。

black_ships at 15:50│Comments(0)ゼミ&大学院授業 

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