後期の授業気になる本(研究書)の話

2009年10月08日

今週の授業(10月第2週)

10月に入りプロ野球も2009年シーズンが終わろうとしています。プロ野球そのものが好きな自分としては、楽天のクライマックス・シリーズ出場は嬉しいことです。しかし、その煽りを受けてわがライオンズがBクラスということは考えてもいませんでした。

今シーズンの収穫は、序盤は苦しみながらも片山・栗山の1・2番がそれなりの成績を収めたこと、中島・中村の3・4番が素晴らしい活躍をしたことです。若き1~4番は、今後数年は安定して活躍してくれると思います。一方で課題は、先発投手陣と抑え投手です。涌井・岸は安定しているものの、帆足にもうひと伸びが無いこと(シーズン後半は素晴らしい活躍でしたが)、そして何より西口をはじめとするベテラン投手陣の衰えが著しいことが懸念されます。抑えのグラマンを潰してしまったのはシーズンはじめの起用ミスに原因があるような気もしますが、やはり本格派の抑えの登場が待たれるところです。

来年こそは所沢へ応援に行きたいと思います。



今週の授業、といっても本日行われる予定だったプロジェクト科目(政治思想研究)が台風の影響で休講となったので、院ゼミしかありませんでした。

<水曜日>

2限:国際政治論特殊演習(院ゼミ)

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今週は、Painful Choices の序章と第一章(Surprise, Anticipation, and Theory)を読みました。これは授業で先生も言っていたことですが、英語そのものはそれほど難しいわけではありませんし、構成も分かりやすいので、読み進めるだけであれば苦労するところはあまりありません。しかし、書いてある中身がかなり詰められたものであり、従来の通説的な方法論や国際政治理論に対する批判が展開されているので、読み手次第でこの本の受け取り方は少し異なるような気もします。といっても、本書の中核的なメッセージは明確に伝わるようになっているのはさすがです。

中身を簡単に紹介しておきます。今回読んだ序章と第一章では本書のテーマと、その方法論が説明されています。この本のテーマは、その副題にあるとおり"A Theory for Foreign Policy Change"ですが、ここには二つのポイントが隠されています。一つは"The Theory~"ではなく"A Theory~"とされていることで、ここに著者の構築する理論の適用範囲やその妥当さに関する控え目な視点が表れています。

そしてもう一つは、"Foreign Policy"ではなく"Foreign Policy Change"の理論構築を目指していることです。なぜ「対外政策」ではなく「対外政策の変化」なのか。ここには、著者の国際政治と国際政治理論に対する見方が反映されています。著者は国際政治における「偶然」の要素を重視します。何かの変化は突然訪れることが多い。そうした国際政治の世界を理論化=一般化しようとした時には様々な問題が発生します。ここでは、相互に密接に関連する六つの問題(※手許に本が無いのであとで加筆します)について、その一般理論化に伴う困難を天体行動の物理的な理論と対比しながら議論が紹介されていますが、この点は省略します。

国家の行動の集積である国際政治の一般理論化は困難であるというのがここでの著者の暫定的な結論となるわけですが、そうであれば国際政治理論の研究を行わないのかと言えばそうではない、というのが著者の議論の面白いところであり、ポイントとなる部分なのでしょう。

さて、こうした議論を展開した上で著者が注目するのは、政治指導者の決断による対外政策の「変化」です。一般的な日々の対外行動を政治指導者の決断に帰することが難しいことは一見して明らかですが、それが危機的状況を前にして決断を迫られる場面に限定すれば、政治指導者の心理→国家の行動という図式が成り立つ蓋然性は高まるわけです。

抽象的な議論が多い部分であり、あまりうまくまとめられていませんが、大体以上が序章&第一章で展開されている本書の図式の説明です。こうした図式に立った上で、政治指導者の「損失回避(loss-aversion)」を追求する心理が、「苦渋の選択(painful choices)」へ繋がるということを理論的・実証的に検証していくのが本書の大きな議論となります。

さて、色々と書きたいこともありますが、ここまでまとめてちょっと疲れたのでひとまずはこんなところで。

at 14:55│Comments(0) ゼミ&大学院授業 

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