2009年04月20日

先週の授業(4月第3週)

あわただしく過ごしている内に更新が滞るようになり、いつの間にやらどこかのブログのように週報ないしは隔週報になりかけている今日この頃です。

本の話やら映画の話やら色々と書きたいことや書きためたこともあるのですが、ひとまず備忘録代わりに授業の話だけ書いておきます。



<水曜日>

2限:国際政治論特殊研究

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今週は、Tim Dunne and Brian C. Schmidt, “Chapter 5 Realism”, in John Baylis, Steve Smith, and Patricia Owens (eds.), The Globalization of World Politics: An Introduction to International Relations, 4th Edition, (New York: Oxford University Press, 2008), pp.90-106. をテキストに、リアリズムについて。

テキストそのものの内容は、ごくごく一般的な概説なので、これといって特筆すべきことはほとんど無いように思います。とはいえ、この授業の目的は「最新」の理論動向を追いかけることにあるわけではないので、重要なことはこうした教科書に依然として残っているような理論の特質を理解しつつ、いかにそれについて自分で突き詰めて考えることにあるのではないでしょうか。

今回のポイントは、リアリズムのエッセンスとして取り上げられる、statism(国家主義)、survival(生存)、self-help(自助)に関する部分で、そこに潜む陥穽やトートロジー的な部分の議論がなかなか興味深かったです。概説的な部分に関しては、教科書ゆえに仕方がないのでしょうが、クラシカル・リアリズムがかなりの程度単純化されていることや、構造的リアリストの先駆者としてルソーが取り上げられている点に若干の違和感を持ちました。

発表を1回することと、最低三回は事前にA4・1枚のペーパーを提出することが義務になるのですが、こういった教科書を読んで議論を作るのはなかなか難しいので、ペーパーをどの部分で書くべきかやや悩んでいます。ちなみに、次週はリベラリズム、次々週は現在の主流の国際政治理論としての合理主義(ネオリアリズムとネオリベラリズム)がそれぞれテーマです。

<木曜日>

5限:プロジェクト科目I(政治思想研究)

大学3年生の時に出席させて頂き、また修士課程入学以降ずっと履修しているこの授業を今年も取ることにしました。

第一回の今回は、「Civility論」というテーマでした。指定文献は、「初期近代ブリテンにおける「作法」の政治学 1528-1774」『法政研究』第73巻第4号(九州大学法政学会、2007年)と、先生が今お書きになっている本の「はじめに」の草稿でした。

政策研究的な政治学が主流となる現状を考えると、「作法」といった要素に注目することは、政策研究的な視点からは漏れてしまう人間学としての政治の本質を考えるために重要だと思うのですが、指定文献や講義から受けた印象は一種の文明論的なもので、どういった点で「政治学」なのかに疑問が残りました。いつもと同じパターンですが、これ以降は次回のディスカッションを踏まえてまた書くことにします。

<金曜日>

1限:アカデミック・ライティング

先週のガイダンスに出て話を聞いた結果、結局プレゼンテーションは取らずにライティングのみを受講することにしました。基本的には技術的な話が中心になるので、様子を見つつキャッチ・アップしていけるように頑張るつもりです。が、授業の内容が想定していたものと異なり、自分の書いたものを添削して貰う形式ではないのが難点で、やや困ったなというところです。おそらくこの授業に関しては来週以降は割愛すると思います。

<土曜日>

2限:プロジェクト科目I(安全保障研究)

講師の先生のご都合で、水曜5限ではなく土曜日に授業が行われました。

このプロジェクト科目は歴史研究や事例研究のラインナップが多いのですが、初回は例外的に理論研究の先生がゲストでした。テーマは「勢力均衡論の現在」、指定文献はDaniel H. Nexon, "The Balance of Power in the Balance," World Politics, Vol. 61, No. 2 (April 2009), pp.330-359. という書評論文でした。

テーマは「勢力均衡論の現在」であり、現在の研究動向も色々と紹介されていましたが、個人的に印象だったのはRichard Little, The Balance of Power in International Relations: Metaphors, Myths, and Models, (Cambridge: Cambridge University Press, 2007) を引きながら、モーゲンソー、ブル、ウォルツ、ミアシャイマーの議論における勢力均衡概念の比較検討をしている部分でした。といっても、レジュメを見返してみると、他の部分に色々と書き込みがしてあるので、なぜここが印象に残ったのかがよく分かりません。

勢力均衡論自体が、現在危機的状況に置かれているとのことですが、近代ヨーロッパ以外の事例で勢力均衡論を検証する研究が近年増加しているなど、普段はあまり関心が行かない分野に興味を惹かれる授業でした。「政策としての勢力均衡」と「システムとしての勢力均衡」の違いや、パワーの定義(権力か能力か)といったことを最低限押さえておくことが、他分野の人間に求められることなのでしょうか。

at 11:58│Comments(6)ゼミ&大学院授業 

この記事へのコメント

1. Posted by りんむー   2009年04月20日 23:46
確かウォルツのMan, the State and War の第三イメージのところにルソーが出てきたと思う。そう考えると、ルソーを構造的リアリズムの先駆者とするのもさもありなんというところか。
2. Posted by 管理人   2009年04月25日 11:25
コメントお返しするのが遅くなりました。おっしゃる通り、ウォルツから引っ張ってきた結果として、ルソーを構造的リアリズムの先駆者として位置付けているようです。とはいえ、明石先生なんかも書いているように、そもそもルソーは国際政治や国際法に関する体系化に挫折しているわけで、やはり構造的リアリズムの先駆者として位置付けるのはやや乱暴な気がします。ルソーそのものは一部を除いてじっくり読んでいるわけではないのであまり言いきることは出来ませんが。
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primaire serait certainement penser besoin de vtements chauds pour
les bottes que tous ceux-ci sont de prfrence le devrait.
Mais ne jamais les porter glisses dans boot cut ou larges considrant que n'est pas attrayant ou non ce
qui sort de la chaussure que vous marchez ou penchez.
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