2008年12月28日

弛緩。

競馬関係者は番組表が暦代わりだそうです。競馬ファンの自分も有馬記念が終わるとああ一年が終わるんだな、という気になります。ダイワスカーレットの見事な逃げきりに終わった今年は牝馬の活躍が目立った一年でしたが、来年はどうなるのでしょうか。



日々是単調な院生生活を送っている自分でも、それなりに毎日色々なことを考えています。

そんなきっかけになるのは、不思議とふと目にしたニュースであることが多いので、パラパラとではあっても毎朝新聞を眺めるようにしていますし、パソコンを立ち上げるとパパっと国内外のニュース・サイトをチェックすることは日課のようになっています。

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先ほどパソコンを立ち上げた時に目に入ってきたのが、『文明の衝突』や『第三の波』の著者として日本でも広く知られているサミュエル・ハンチントン死去のニュースです(リンク)。長らく翻訳が品切れになっていた『軍人と国家』(原題:The Soldier and the State)が最近復刊されましたが、彼の多くの業績には今なお読むべきものがたくさんあります。

それなりに政治学の研究事情のようなものが分かるようになってからは、『文明の衝突』以降の彼の著作やその議論が、アカデミックにどういった水準にあるのかについてかなり疑問を持つようになりましたが、学部一年の時に『文明の衝突』を読んで論文(のようなもの)を書こうと考えた時の気持は今でもはっきりと覚えています。

「文明の衝突」という議論は人口に膾炙し今でも様々な場で引かれていますが、むしろ読まれるべきは『第三の波』以前の著作、とりわけ『軍人と国家』ではないでしょうか。政軍関係の古典と知られていますが、後の民主化論との関係からも興味深い本です。



うだうだと色々書いていた修士論文は、先日先生からOKが出たので結局微修正のみで終わらせることになりました。抜けていた一次資料や二次文献、新規に公開された資料の追加等々をして、切り出した論文の議論との整合を図る。そんな作業を、毎日少しずつ進めています。

そんなわけで時間に余裕が出来たので、この数日は積読解消期間に入っています。久しぶりに本をダダダッと読むことが出来るのは素直に嬉しいのですが、自分の専門分野の本やそれに近い本は、何と言うか斜めから見てしまいます。その点で、この夏からそれなりに取り組んでいる経済学関係の本はより素直に読めるのでいい読書です。とりわけ、アカデミックな経済読み物の類が読書としては最高です。

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竹森俊平『資本主義は嫌いですか』(日本経済新聞社)は、サブプライム問題を取り上げた実に面白い「読み物」でした。歴史と理論と現状を自在に行き来しながらも、全体の論理は一貫している点が魅力的で、サブプライム問題の歴史的な位置や理論的な意味がどこにあるのかという点が門外漢の自分にもよく分かる好著でした。経済学を専門にしている人から見れば色々と意見があるのかもしれませんが、こういった専門的な話を展開しながらも専門外の人にも興味深く読める本はそれほど多くはありません。

とまあこんな感じで、このところ読書傾向が拡散しつつあるのは、やはり論文の見通しが立ったことによって弛緩している証拠なのかもしれません。今年も残すところわずかですが、もう一度手綱を絞って頑張りたいと思います。

at 16:10│Comments(0)本の話 

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