2008年11月15日

今週の授業(11月第2週)

11月上旬になると気になってくるのが、サントリー学芸賞の発表です(リンク)。

例年は二冊くらいは既に読んだ本が受賞作の中に含まれているのですが、今年は積読になっている本が4冊という何とも微妙な結果でした。広義には自分の専門の学術書の新刊をしっかり読めていないというのはやはり問題です。



いつものように備忘録代わりに授業の記録を書いておきます。

<水曜日>

3限:国際政治論特殊演習(院ゼミ)

今週は今書いている論文の発表をしました。発表といっても、参加者は自分を含めて三名で、しかも事前に草稿と要旨を渡しているので、実質的には細かい点まで含めた論文草稿の検討会でした。一時間半をフルに使って日本語表現まで含めて指導して貰えるのは実に贅沢であり貴重なことです。

自分としては、細かな日本語までこだわって草稿を仕上げたつもりだったのですが、まだまだ詰めが甘いようで色々と貴重な意見を貰うことが出来ました。資料に基づいて書いた本論の部分はほぼ固まっているので、後はいかにメリハリをつけるか、また「はじめに」と「おわりに」をいかに効果的なものにしていくかが課題なのですが、この作業が実は一番大変なのかもしれません。

今週は授業とは別に、バイト先の先生にも論文草稿についてコメントを頂きました。書いているうちについつい「当たり前」と思いこんで削ってしまった箇所こそが実はもっとも大切であることや、資料の使い方等で中途半端な箇所について詳細にコメントをして頂けたのは本当に有難いことです。やや外交史としては、変化球的なテーマを扱っていることから、いかに皆に理解して貰えるように、そして誤解のないように書くのかが厄介なところです。

<木曜日>

2限:Alternative Approaches to Japanese Foreign Policy

理論の「お勉強」最終回の今週のテーマはコンストラクティヴィスム。テキストは、Christian Reus-Smit,“Constructivism,”in Scott Burchill, Andrew Linklater, and Richard Devetak, (eds.), Theories of International Relations (Houndmills, Basingstoke, Hampshire: Palgrave Macmillan, 2005) でした。further readingとして二つ論文が指定されていたのですが、時間の関係でよく知られている方、Nicholas Onuf,“Constructivism: A User's Manual,”in Vendulka Kubalkova, Nicholas Onuf, and Paul Kowert, (eds.), International Relations in a Constructed World (Armonk, NY: M.E. Sharpe, 1998) のみを読んでいきました。

アシスタントの先生による授業でしたが、先生自身がコンストラクティヴィストなので、なかなか気合いの入った説明で色々と勉強になりました。コンストラクティヴィズムは理論なのかそれとも分析枠組なのかといったことから、他の理論との関係まで包括的に議論になりましたが、自分に振られた時にまたうまく説明出来なかったのが悔やまれるところです。これは努力あるのみ。

アシスタントの先生とは普段もよく話すのですが、やはりコンストラクティヴィズムの大きな問題は、それが静的(static)な理論だということではないでしょうか。周知のとおりコンストラクティヴィズムは、規範の共有を重視するわけですが、この規範は容易には変化しないからこそ規範たりえるわけです。それゆえ、コンストラクティヴィズムは短期的でダイナミックな変化を説明するのにはあまり向いていないのではないか。そんな話をしてみたところ、今の理論の最先端は、変化の説明にも進みつつあるということなので、やはりアメリカにおける理論研究のパワーはすごいなと感じました。

次回(再来週)からは、日本外交の理論的な説明が授業のテーマになります。初回は日米同盟が課題なのですが、何を取り上げて説明するのかがやや悩ましいところです。

4限:国際政治論特殊演習(もう一つの院ゼミ)

博士課程で外交史を研究されている先輩二人の発表。修士論文の構想発表だといつも時間が余り、逆に本格的な研究が二つ並ぶと時間が足りなくなるというのはどうにかならないものでしょうか。今回も案の定時間が足りず、質問をする時間がほとんどありませんでした。院生の人数が多いゼミなので仕方がないのかも知れませんが、レベルの高い研究について議論する時間ないのは残念です。

5限:プロジェクト科目(政治思想研究)

先々週土曜日の報告を受けてのディスカッション。報告を詳細に検討した上での、討論者の議論は実に鮮やかでしたが、鮮やか過ぎたためか議論はあまり盛り上がりませんでした。個人的には、授業の後半で少し出てきた思想史研究のリサーチ・デザイン(?)のような話は面白かったです。

at 12:44│Comments(0)ゼミ&大学院授業 

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