2008年11月07日

新刊紹介サイト化。

今週は、木曜日が「月曜代講日」だったので、授業は水曜日の院ゼミ(後輩の研究発表)だけでした。アロンを読む課題がなく、また木曜二限の理論の勉強がないだけで、これだけ時間に余裕があるということは、やはり英語力がかなり不足している証拠なのだと思い、やや凹みました。

来週は自分が発表なので、何とか最後のスパートをかけて頑張りたいです。



最近、書評をあまりここに書いていないこともあり、何となく新刊紹介サイトのようになっている気がします。修業中の自分が必死に頑張っている間に、世の中ではどんどん本が出ていることに思わずため息をつきたくなることもありますが、純粋に本や研究を読むのは好きなので、やっぱり嬉しいという気持ちの方が大きいです。…本になるようなちゃんとした研究を出来る日がいつかちゃんと来るのでしょうか。

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注目の「書評本」が二冊同時に千倉書房から刊行されました。

どちらも手許に置いておきたくなる、実に上品な装丁です。もしかして、と思い奥付を見てみると同じ装丁家の手によるものでした。本は内容が一番重要ですが、それでもやはり文字や見た目も重要です。同じ博士論文ベースの学術書でも、出版社次第でスタイルは大きく違います。個人的には、昔から大きくは変わらぬクラシックなスタイルを守る東京大学出版会・名古屋大学出版会・創文社から出ている学術書が好きで、本棚の一角はこの三つの出版社から出ている博論ベースの研究書が占めています。博論ベースの研究書以上に、この二冊のように「読み物」としても楽しみたい本は装丁が重要なので、著者としても嬉しいのではないのかなと想像してしまいます。

閑話休題。左の本(『歴史としての現代日本 五百旗頭真書評集成』千倉書房)は、日本を代表する外交史家による書評集です。『毎日新聞』に掲載された書評を中心に百冊余りの本が取り上げられています。「歴史の中の日本」「20世紀を生きる人々」「変わりゆく戦後日本」「アメリカという例外国家」「不実の故郷 アジアを求めて」「世界認識のフロンティア」と題した各章に配された著者の書評の数々は、どれも短いながら読ませる味わい深い文章になっています。

そのラインナップが見事に今の自分の興味関心に合致するのは、著者の本や書評を読んできた証なのかもしれません。半分以上の本は自分も読んでいますし、このブログで取り上げた本もあるのですが、まだまだ読まなければいけない本がたくさんあるということに気がつかされます。ごく一部を除いて、約2000字の新聞書評がベースになっているので、こちらは一気に読むのではなく気が向いた時に各章毎に読み進めていこうと思います。

右の本(『表象の戦後人物誌』千倉書房)も、既発表の「書評」や「解説」を集めたものですが、こちらは一気に読み切りたい仕掛けがある一冊になっています。「人物」をキーワードに博覧強記の著者が書いてきた「解説」や「書評」を一気に読み切ることで、普通の通史からは漏れてしまう人々の息遣いや歴史の襞を感じることが出来るのではないでしょうか。

どちらの本も研究書ではないのですが、研究をする楽しみを再確認させてくれそうな本なので、読むのが今から楽しみです。

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上で紹介した二冊の本は「読み物」ですが、↑の『岸政権期の「アジア」外交 「対米自主」と「アジア主義」の逆説』(国際書院)は博士論文を基にした本格的な研究書です。60年代後半から70年代前半に生まれた若手の日本外交史家の著作が2000年代に入ってから相次いで出版されていますが、そこにまた一冊アジア外交の研究書が加わることになりました。私が知っているだけでも、まだ出版されていないアジア外交の博士論文がいくつもあることを考えると、この分野をこれから研究しようと思う大学院生は本当に大変だと思います。

本書の一部は『一橋法学』に論文として発表されているので、論文として読んだのですが、全体としてまとめた時にどういった議論になるのかがとても興味深いところです。自分の研究を考える際にも、これがもう少し大きい枠組みの中でどういった位置付けになるのかということが悩ましいものなので、少しでも示唆が得られると嬉しいです。

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最後は、ヨーロッパ関係の二冊。左の『戦後イギリス外交と対ヨーロッパ政策 「世界大国」の将来と地域統合の進展、1945ー1957年』(ミネルヴァ書房)は、戦間期から1960年代に至るイギリス外交について着実に研究を積み重ねてきた著者による待望の研究書です。これは生協に並んでいなかったので、先生の研究室にあったものをパラパラ眺めただけですが、今から読むのが非常に楽しみです。

日本の場合、刊行される外交史の研究書の多くは博士論文を基にしたものであり、必ずしも幅広い時代や隣接するテーマに深い理解があるものばかりではありません。しかし本書は、イギリス外交について時代やテーマを少しずつ変えながら幅広く研究を進めてきた著者による待望の一冊なので、どのように著者がこのテーマを意義付けているのかといったところも含めて読み込みたいと思います。

実は、二ヶ月前に「必読文献」として挙げた小川浩之先生の『イギリス帝国からヨーロッパ統合へ 戦後イギリス対外政策の転換とEEC加盟申請』(名古屋大学出版会)をまだ読めていないので、時系列を考えてこちらの本から読むことにしようと思います。といっても、まず自分の研究にひと区切りをつけなければいけないわけですが…。

右の『【原典】ヨーロッパ統合史 資料と解説』(名古屋大学出版会)は、四月に出た『ヨーロッパ統合史』の姉妹本です。ヨーロッパ統合の貴重な資料を日本語で、しかも解説付で読めるという貴重な本なのですが、いかんせん高いのでちょっと買うのを躊躇してしまいます(といっても結局買ってしまうわけですが…病気)。

そんなこんなで、読むのが楽しみな本が目白押しという嬉しい悲鳴の毎日です。

at 19:42│Comments(0)本の話 

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