研究生活再開。レイモン・アロンにしびれる。

2008年10月16日

今週の授業(10月第3週)。

「デトロイト・メタル・シティ」を観て、ちょっとカジヒデキを聴きたくなったのですが、結局ブームは来ませんでした。

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最近は、矢野顕子のピアノ弾き語り曲を集めた「ピヤノアキコ。」や、SUGAR BABEの「SONGS」をヘビー・ローテーションで聴いています。矢野顕子を聴いてからSUGAR BABEを聴くと、同世代で定評のあるミュージシャンでもSUGAR BABEは楽曲・演奏共にやっぱり荒削りだなと思うわけですが、それはそれでいいと思います。この二つの流れになるかは分かりませんが、最近またよくクラムボンを聴いています。もっとも、このちょっとまったりした感じの音楽を聴くのもクロマニヨンズのニュー・アルバムを手に入れたらまた変わってしまいそうです。



いつものように今週の授業の話。

<水曜日>

3限:国際政治論特殊演習(院ゼミ)

今週のテキストはスタンレー・ホフマンのアロン論(Raymond Aron and the Theory of International Relations)とモーゲンソー論(Hans Morgenthau: The Limits and Influence of "Realism")の二本。どちらも彼のJanus and Minerva : essays in the theory and practice of international politics (Boulder: Westview Press, 1987)という本に収録されている論文です。

簡単にまとめてしまえば、アロンを絶賛し、モーゲンソーをこき下ろしている論文です。モーゲンソーについては、批判のための批判に近い部分もあるような気がしますが、アロンについてはバランスをうまく取って評価している思います。ちなみに唯一ホフマンがアロンを批判しているのが、ソ連に対する過大評価の部分だった点は興味深いところです。

授業では、アロンとモーゲンソー及び北米の学者との違いや、いかにしてアロンがこのような思想を形成したのか、といったことについて議論になりました。人数が少ないので、自分がよく読めなかった部分やしっかりと理解出来ない部分を逐一確認出来るのはありがたいことです。

アロンにしてもモーゲンソーにしても、現在の文脈ではクラシカル・リアリストと言われる論者であるため、良くも悪くもその理論には様々な要素が含まれています。また著者のホフマンは現在もハーバード大学教授ですが、ネオリアリズムの隆盛以降は、非常に社会科学化が進んだアメリカの国際関係論の議論から一歩身を引いているような印象があります。この二つの論文が収められている論文集が刊行されたのは1987年ですが、どちらの論文も叙述的に書かれているので、歴史をやっている自分としてはむしろ読みやすかったです。モーゲンソーやアロンを過度に単純化してしまうことはその良質な部分を切り取ることにも繋がってしまうので、このように叙述的に書いた方がうまく読者は理解できるのかも知れません。

<木曜日>

2限:Alternative Approaches to Japanese Foreign Policy

授業の題名には「日本外交」が付いていますが、先週から数回は基本的な国際政治理論を取り上げる回が続きます。今週のテーマは、国際政治理論の基本であるリアリズムです。指定テキストは、Jack Donnelly, "Chapter 2: Realism," in Scott Burchill, Andrew Linklater & Richard Devetak, (eds.)Theories of International Relations (3rd Edition, Basingstoke: Palgrave Macmillan, 2005)でしたが、追加としてRobert O. Keohane (eds.), Neorealism and Its Critics (New York: Columbia University Pres , 1986)に収録されている論文などが指定されています。

テキストは、リアリズムにやや批判的な立場を取る著者が、クラシカル・リアリズムから攻撃的リアリズムまで代表的なリアリズムの議論を整理し検討したもので分かりやすかったのですが、前日にクラシカルな議論を議論したばかりなので頭がやや混乱しました。

今回の授業では、明らかに英語力のみが原因で詰まってしまうことがあったので、その点が情けなかったです。テキストを読んでの疑問や質問は何とか出来ますが、咄嗟に発言するのはなかなか出来ません。事前に基本的な概念や理論について簡単に英語でまとめたおけばいいのかもしれませんが、他との兼ね合いからそれを完璧にこなすのは難しいので考えものです。ともあれ、語学は練習あるのみなので頑張りたいところです。

ちなみに次回はリベラリズムがテーマです。

4限:国際政治論特殊演習(もう一つの院ゼミ)

博士課程の先輩二人の研究発表。一つの発表が思想史とも近いアプローチだったことから、頭の中がさらに混乱(クラシカル・リアリズム×2→構造的リアリズム→日本政治思想史?)。

5限:プロジェクト科目(政治思想研究)

ゲストの先生を招いての講演(「光の政治哲学――スフラワルディーとモダンあるいは政治社会への根源的な想像力の問題」)。そもそもイスラムに関する知識がほぼゼロであるため、ほとんど話を理解することが出来なかったのは痛恨です。プラトンとの対比などのロジックはそれなりに分かったように思いますが、どの部分が「政治哲学」なのかといったことが全く分からず非常に消化不良です。この消化不良が来週の議論で解決すればいいのですが…。

at 19:59│Comments(0) ゼミ&大学院授業 

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