2008年08月07日

ムダボについて。

うだるような暑さが連日続き、プール行きたい病、ビール飲みたい病に感染しそうだ。

この暑さが人間を短気にさせるようで、普段なら聞き流してしまうようなちょっとしたニュースに腹が立って仕方がない。この数日で一番腹が立ったのが、例の「ムダボ(無駄遣い撲滅プロジェクトチーム)」関係の話だ。あまり時事的な話をここに書くつもりはないのだが、あまりに腹が立ったというか悲しくなったので書いておきたい。

自称「改革派」の若手議員を中心に、「経費のムダ遣いを撲滅しよう!」と気炎を上げていることが、ちらほらとニュースにも出ている。その考え方の根本は間違っていないのだろうが、関係各所から聞こえてくる声やその実態を見るにつけて、こんな政治家達に国を任せる気はしないなと嘆息してしまう。

そもそもなぜこの時期なのだろうか。

少しでも公会計の仕組みをしっていれば、春から夏にかけてこういった取り組みをすることが、いかに予算要求プロセスに悪影響を与えるかはすぐに分かる話だ。一言で言ってしまえば、この時期に「ムダボ」を叫んで役人をつるしあげることは、予算要求のプロセスを著しく遅らせるだけで、通常業務に支障をきたし、結果的には時間の無駄遣いになってしまう。時間の無駄遣いが、おかねの無駄遣いに繋がるのは自明の理だ。

さらに、その中身について考えてみるとさらに悲しくなる。先日ニュースにも流れていたのが、文部科学省関係の話だ。院生である自分が関係する話だと、科研費、GCOE、奨学金貸与事業関係だろう(以下、河野太郎HPの中での「太郎の主張・政策」(リンク)にアップされている報告書より引用)。

もちろんこうした事業に無駄があるのは確かなのだが、例えばGCOEは「不要」が5人、「今のままなら不要」が4人、「国の事業として継続」が2人という内訳を示した上で、座長代理の判断は「今のままなら不要」となっている。事業の目的は「ポスドクの院生の生活保護ではない」という指摘はもっともかもしれないが、ではなくしてどうするのかといった処方箋はない。

また安易なアメリカとの比較も気になるところだ。「アメリカの大学の中でリサーチユニバーシティー1にカテゴライズされているのは、約4000の大学に対して100箇所、日本は約1000の大学しかないのに150箇所は明らかにやりすぎ。日本で5ヶ所程度だろう」といった指摘があるが、それではアメリカでは研究費がどれくらい支給されているのかといった詰めた議論はない。ただ、自分にとって都合のいいデータを引っ張ってきているだけだ。

それに対して、実際の運用で年度末のパソコン大量購入などの「無駄」が現場でも指摘されている科研費は↓のような意見が付されただけで「継続」となっている。

○間接経費30%の外枠部分について科研費に含めるのでなく、運営費交付金的な要素もあるので表示を2つに分けて明記し国民に誤解のないようにやっていただきたい。
○公平に採択、配分をやっているというが現場はそのように受け止めていないので現場の声を聞いてもらいたい

極めつけは奨学金だ。給費ではなく貸費の奨学融資について、↓のような意見を付して「今のままなら不要」という座長判断となっている。

○審査・回収は民間にゆだねるべき。
○13億円の独法の人件費を来年もこのまま投入することはありえない。
○国民の税金で運営されており、「見解の相違」では済まされない。真剣に対応すべき問題。

ちなみに内訳は、「今のままなら不要」が8人、「民間」が2人、「国の事業として継続」が2人だ。特に問題視されているのが、「貸出残高5兆円弱のうち滞納が2000億円(滞納者は20万人)発生しており、滞納額は10年前の2倍以上となっている。それがそのまま税金で穴埋めされている状況」らしいのだが、「ムダボ」の人たちは、民間の金融機関の不良債権の割合とかは分かっているのだろうか。この2000億円を問題視して、制度全体が「今のままなら不要」というのは見識を疑う。センセイ達は学費で苦労したことなど無いのだろうか、と邪推してしまう。

とまあ、こんな感じの中身を見て嘆息、憤怒、諦観…。ある後輩は「人民裁判ごっこ」と言っているが、それに同意したくなる。

at 14:28│Comments(2)日々の戯れ言 

この記事へのコメント

1. Posted by みたに   2008年08月07日 21:10
しらとりさん、お久しぶりです。
初カキコです。
某航空会社の借金も桁が「兆」ですからね。先人の不良債権を今の学生にまで引きずって奨学金を不要とみなす先生方の浅はかさに逆に天晴れです。
必要ないのに奨学金を借りて、株投資で資産運用をした挙句、研究者になった人(怒)を知っているので、審査に関してはきちんと必要な人を支援できるようなシステムをつくったほうがいいとは思いますけどね。。。ちなみに、サブプライムで資産が減ったらしいのでめっちゃすっきりしました。
2. Posted by 管理人   2008年08月12日 13:08
珍しい後輩からコメントがあったと思ったら…怨み節だ(笑)
世の中理不尽なことだらけだと、まあ地道に研究を続けていくくらいしか、院生が戦う場所はないのかもしれないね。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字