2008年05月17日

今週の授業。

先週も同じことを書いたと思うが…、もう土曜日。

仕事が平日に三日間あったため、あまり自分の研究が進んだような気はしないが、課題はそれなりに進んだし、仕事で面白いこともあったので悪い一週間ではなかったと思う。



今週の授業。水曜日は休講だったので、木曜日のみ。

2限:国際政治論特殊研究

ようやく授業の目的である史料読解が始まる。イギリスの公刊史料集であるDocuments on British Policy Overseas (DBPO) を読むのはこれが3冊目である。これまでに読んだのは、一昨年の授業で読んだ戦後直後の対英政策に関するものと、昨年夏に読んだYear of Europe & Energy Crisisに関するものだ。

DBPO以上によく知られた公刊史料集として、アメリカのForeign Relations of the United States (FRUS) がある。FRUSと比べてDBPOは収められている文書がより「厳選」されている印象があったが、これまで読んだ二冊と比べて、今回取り上げるヨーロッパ・デタントに関する資料はより「厳選」されている気がする。

今学期の授業では、MBFRに関する部分のみを取り上げるのだが、期間は4年半で収録されている文書はわずか36個(!)である。それだけ「厳選」されているので、ひとつひとつの文書はそれなりの長さがあるし、「どうでもいい」文書は入っていない。授業で読むのには適しているし、自分のように他分野を研究している者にとっては、先行研究ではなく史料からイメージを作る際には非常に便利なものだ。

とはいえ、やはりこの史料集からだけではイギリス外交史の論文は書けないな、というのが率直な印象だ。これだけ「厳選」されていると、編者がPrefaceや本文の中の説明で書いていることや、他の媒体で発表している論文を「超える」ことは難しいだろう。

もちろん、史料的なレベルの高さのみで論文の価値が決まるわけではない。これは人それぞれ意見があるだろうが、少なくとも自分は「実証か、面白さ」かと問われれば「面白さ」を取る。このDBPOからいかに面白い議論を作るか、という点の方が実は重要なのかもしれない。そういう意味では、一次資料を読んだことのない院生を対象とした授業で取り上げるにはいいテキストなのかもしれない。

ちなみに今週の授業で取り上げたのは三つの文書だ。1972年における軍部と外務省のMBFRに対する見方をまとめた文書がそれぞれ一つ、加えてMBFRの予備会談直前の対処方針(?)の文書が一つだ。

4限:国際政治論特殊研究

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内容についてはノーコメント。授業の際に先生がアメリカ人のある教授の言葉として紹介していた「今後のJapan Studiesでは、当面この本が一つのスタンダードになる」ということに、暗澹たる気持ちになる。一次資料に基づいた研究が蓄積されている時代についても、そうした研究を参照せずに書かれた研究書がスタンダードになるのは恐ろしいことだ。こうした研究に対抗するためには、向こうで英語で「対決」していかなければならないのだ。気長に頑張ろう(同志求む)。

5限:プロジェクト科目

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今週は著者を招いての講義だった。ヨーロッパ中世史ということで、教科書程度の知識はあれどほぼ未知の領域に踏み込んだ今週の授業は心配だったのだが、質疑応答や懇親会も含めて楽しいものだった。とはいえ、やはり自分に知識がしっかりない領域の場合、付け焼刃で勉強をしたところで結局はつまみ食いになってしまう。それでもやらないよりはやった方がいいだろう、ということにしておこう。授業の話は、来週の討論を踏まえてまた書こうと思う(これは書かないパターンかなあ)。



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『研究をする意味』(東京図書)という本がある。

生協(日吉)の新刊コーナーで買った覚えがあるので、刊行された2003年夏に読んだのだろう。本の整理をしていたら、たまたま本棚の奥から出てきたのでパラパラと読んでいて驚いたのは、自分がこの本を読んで思っていた感想やイメージとあまりに違うことだ。

学部二年生が読むのと、大学院三年目の院生が読んで印象が違うのは当たり前と言えば当たり前だが、ちょっと考えてみればそれは恐ろしいことだ。まだ公刊した論文もない自分にとって、少しでも誇ることがあるとすれば、これまでに読んできた本の量や幅が他の人よりほんの少し多かったり広かったりということくらいである。とはいえ、学部二年の時に読んだ印象と今読んでの印象がここまで違うとなると、それまでに読んだ本も、結局もう一度読み返さないとちゃんとしたことは言えないということになるだろう。

そこで思い出したのは、昨年ある授業で学部四年の時に読んだ研究書を改めて読んだことだ。学部四年の時は面白いなと思ったその本は、修士二年の自分には、議論の粗さや実証の甘さばかりが目についたのだ。人間成長するものだ。

こう考えてみると、この二年くらいに読んだ本以外は、読み返すとまではいかなくても眺め返すくらいはした方がいいのかもしれない。そんなことを考えても、自分の研究に直接関係しない場合は、実行することはないと思うのだが…。

ちなみに今回じっくり読んで色々と発見があったのは、東大法学部で国際政治を教える某教授のところだ。この2003年夏に出版された本で語っているとおりに進んでいれば、あんな研究書やこんな研究書が世に出ていたのかー、と思わずにはいられない。東大社研の共同研究である『現代日本』や『20世紀システム』の成り立ちや、そこに掲載された論文についてのコメントはそれぞれ興味深いものだった。

at 11:05│Comments(0)ゼミ&大学院授業 

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