佐々木卓也『アイゼンハワー政権の封じ込め政策』(有斐閣)/高坂正堯『海洋国家日本の構想』(中公クラシックス)新しいキャレル。

2008年04月10日

授業スタートなどなど。

大学院も三年目ともなると、何事もないかのように授業が始まってしまうものだ。

新学期に新鮮さをあまり感じないというのはちょっと切ない。が、それでも新しい授業があったり、師匠が帰国したり、と実は重要な変化があったりする。他には、花粉症の時期恒例の風邪を引いたり、と色々あります。

今期は、これまで二年連続でもぐっていた六本木の某大学の授業に出ないことになったので、授業は三田だけというやや変化がない生活になりそうだ。もちろんバイトは去年と同様にあるし、新たに読書会を始めたりということで、必ずしも三田にこもるわけではない。んー、でも他流試合は刺激も受けるし気分転換にもなるので、それが全くないというのは残念でもある。

ひとまず取る授業は今のところ↓といった感じだ。

<水曜日>

3限:国際政治論特殊研究

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待望の師匠の授業。大学院で授業を受けるのは初めてなので、期待半分怖さ半分といったところ。今年は、いわゆる「英国学派」の国際政治理論のテキストの輪読形式 だ。テキストは、Chris Brown, International Relations Theory : New Normative Approaches の予定だったのだが、現在普通には手に入らないということで、急遽、James Mayall, World Politics : Progress and its Limits に変更になった。残念ながら所用のため参加できなかったのだが、昨年著者のMayall氏が来日した際にセミナーがあり、この文献が事前に提示されていたので少し目を通したことがあるが、短くコンパクトながらもとにかく内容の濃い本なので、授業で精読する機会を得たのは嬉しい。今期、最も楽しみな授業だ。

<木曜日>

2限:国際政治論特殊研究

学部三年時からかれこれ五年間お世話になり続けている授業だ。大学院では、「外交史料を読む」をテーマにDBPOとFRUSを毎年交互に読んでおり、今年はDBPOの年になる。今回読むのは、ヨーロッパ・デタントの刊の一部だ。DBPOに入る前に、同時期を扱った邦語文献として齋藤嘉臣『冷戦変容とイギリス外交 デタントをめぐる欧州国際政治、1964~1975年』(ミネルヴァ書房)と、最新の研究及び「70年代論」として英語文献ニ本を読むことになっているので、昨年までよりも、うまく内容と議論がかみ合うのではないだろうか。自分の専門とする時代が70年代ということもあるので、ちょっと違った角度からではあるが、授業での議論等を研究を進める上でも参考にしたい。

4限:国際政治論特殊研究

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指導教授の授業。今年はRichard J. Samuels, Securing Japan: Tokyo's Grand Strategy and the Future of East Asia の輪読。基礎演習?と時間が重なったこともあり、研究生を除くとほぼゼミ員だけというのが残念ではあるが、Japan Studiesをしっかり読むいい機会なので、どういった議論になるかは楽しみだ。ただ、パラパラと読んでみる限りでは議論が曖昧、取り上げている文献が恣意的、といった印象があり、さてどうしたものかな、といった感じもある。やはり言説分析は研究としては難しいということなのだろうか。ただ本のアイデア自体は興味深いものなので、読みながら色々と考えていきたいと思う。

5限:プロジェクト科目(政治思想)

この授業には学部三年の時に出させていただき、さらに大学院進学後もずっと出ている(ただし昨年秋学期は論文執筆に追われていたので一部しか出なかった)。政治思想は専門外だが、これは半分趣味でもあるので、この授業は毎年楽しみにしている。正直なところ各回で当たり外れはあるのだが、それでも当たりに巡り合った時に、その先生とじっくり話すことができるのは貴重な機会だ。それをきっかけにさらに研究を読み進めることもできるし、他分野の院生の気軽さにはぴったりの授業だ。といったら自分に都合良く考え過ぎだろうか。周りにも少しは知的貢献ができるように頑張りたい。

とまあこんな感じで春学期は進むことになる。アカデミック・ライティングなどを取るべきかはちょっと考えたのだが、少し自分で勉強をしたいということと、まとまって一人で研究する日を平日に持ちたいということで少なくとも春学期はやめるつもりだ。

こうやって眺めてみると、三年ぶりの師匠の授業を除けば、他は昨年一昨年と変わらない。もちろん年によって内容は異なるのだが、ややマンネリ化しているような気がしなくもない。植物と同様に、人間もたまに環境を変えるのが大切なので、ちょっと来年以降を見据えて考えていく必要があるだろう。今年はまた一年修士をやるのでいいとしよう。その代わりに、自分の研究や、他大学の院生との研究会や読書会の場を生かしていこうと思う。

at 23:20│Comments(0) ゼミ&大学院授業 

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佐々木卓也『アイゼンハワー政権の封じ込め政策』(有斐閣)/高坂正堯『海洋国家日本の構想』(中公クラシックス)新しいキャレル。