新年度が始まりました。佐々木卓也『アイゼンハワー政権の封じ込め政策』(有斐閣)/高坂正堯『海洋国家日本の構想』(中公クラシックス)

2008年04月05日

祝い事。

「祝い事」といっても、別に誰かが結婚するといった話ではない。

自分の学部卒業とほぼ同時期から在外研究に行っていた師匠が帰国したのだ。一時帰国の際には会って話をすることもあったし、メールでやり取りすることも出来たわけだが、やはり本拠地がケンブリッジでは遠い。逆説的ではあるが、インターネット時代の今だからこそ、直接会って話すことが大切なのだ。

一昨日あった入ゼミ試験(?)で少しお手伝いをして、その後、盟友の某後輩とともに久しぶりに夕食をご馳走になりながら色々と話をした。夕食後は、後輩とと店を変えて一杯やりつつ、やる気の高まりをお互いに確認。大学院2.0のスタートだ。

「師匠」と書いているが、別に手取り足取り指導をしてもらうわけでも、また見取り稽古で鍛えてもらうわけでもない。久しぶりにゆっくり話し、自分たちのことを「よく見ているようで見ていないようでやっぱりよく見ている」な、ということを再確認した。ともかく、このやる気をうまく実生活に結び付けていきたいところだ。

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師匠関係で嬉しいことがもう一つ。待望の新著が発売になり、つい先ほど入手した。講義をもとにした教科書ということだが、それだけに幅広く充実した内容になっている。図らずも自分の研究に直接関係することになっただけに、ゆっくり時間をかけて精読したい。まだパラパラとめくっただけだが、古今東西の古典から引用が、授業同様になされているのが目に付く。左半分が本文、右半分が引用、という思い切った構成になっており、これは編集作業の大変さがよく分かる。

また読んでもいない段階でこのコメントを書くのは適切ではないのかもしれないが、「あとがき」にある「もし本書が読者の支持を受け、版を改める機会があれば、色々改善したいと今から思っている」という一文についつい期待してしまう。井上寿一『日本外交史講義』(岩波書店)以来の、充実した「教科書」という予感があるので、とにかく腰を据えてじっくり読み込もうと思う。



『国際政治経済学』購入のついでにまた色々と本を購入し、さらに図書館でも色々と借り出す。そんなわけで、また積読リストが増えていってしまう。先月は小説や漫画を除いても20冊以上の本を読んだと思うのだが、なかなかそれをアウトプットする機会がなく、自分の中で消化しきれていない。

今日借りた本の中で目に付いたのは、Iokibe Makoto, Caroline Rose, Tomaru Junko, and John Weste (ed.), Japanese Diplomacy in the 1950s : From Isolation to Integration, (Routledge, 2007)。論文集なので、全体をパラパラ読んで、あとは興味のあるものを拾い読みしていくことになると思う。前書きには「マルチ・アーカイヴァル・アプローチに基づいて」という一文があるのだが、いくつかの章を眺める限り、資料的にはイギリスやアメリカが中心で日本の資料はあまり使われていない印象だ。この辺りは、日本外交史プロパーの人間が頑張れ、ということだろうか。

本をパラパラ眺めているだけで、Japan Studiesの文献がこの数年にかなり出ていることが分かった。日本とアフリカの関係などは、日本よりもイギリスなどで研究が進んでいるようだ。バンドン会議と日本の本が英語でも出ていることなどは全く知らなかったので読んでみたい(著者がこの前の研究会後の懇親会で横の席にいた人だったというのにさらに驚く)。



本や論文は、読みっ放しにするといつの間にか中身をすっかり忘れてしまうことがあるので、もっと色々な人に話したり(周りの人に迷惑)、短評でもいいのでここで紹介したり(公共のインターネットに悪文の垂れ流し)、しつつアウトプットにも努めたい。

それにしてもこの二ヶ月は出版物が多過ぎる。

at 14:42│Comments(0) 本の話 

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