12時間コース。回顧・週末。

2007年04月13日

力・価値・利益。

半日は大学で過ごし、夕方から六本木へ。

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初回のテキストは昨年と同じで、入江昭『日本の外交』(中公新書、1966年)。出版から既に40年以上の時を経てもこうやってテキストとして使われるというのはすごいことだ。寿命が長い本にはそれなりに理由があるものだが、この本の寿命が長い理由はなぜだろうか。というのが今日の授業の一つのテーマでもあったのかもしれない。

今日は『日本の外交』に加えて、一部で話題になった昨年11月の麻生外相の演説『「自由と繁栄の弧」をつくる』も併せてテキストに用いた。『日本の外交』は、外交の「思想的背景」に注目して近代日本の外交を描いた本なので、それと少し関連付けたということだろうか。

やはり少人数のゼミ、それも初回はなかなか難しい。人それぞれの持つ空気がまだバラバラで、その人の話す「言語」が何かというのがなかなか掴めないからだ。一回限りの討論とは違い今後の関係もあるので、どうやって話すのかが難しいのだ。先生は同じでも参加者が違うと、こうも議論が変わるのかとつくづく感じた。

そんなこともあり、今日はやや消化不良気味。が、一番の理由は自分で自分の考えていることをうまく説明出来なかったということ。んー、何でだろうなと考えている時にふと思い出したのが、記事の題にもした「力・利益・価値」の三類型だ。これは、高坂正堯が『国際政治』(これもまた『日本の外交』同様に中公新書から出された古典的文献になっている)で掲げた国際政治の体系である。

国際政治は、力の体系であり、利益の体系であり、価値の体系である。40年前に提示されたこの類型はいまだ有効なものだと思う。この類型を通して、国家の「戦略」のようなものをどう考えるか、といったことが言いたかったのだなと授業後に気が付いた次第。と、今日は学部の一年生も読むような二冊の本について考えさせられた日だった。

ところで今の学部一年生はこの二冊の本を真っ先に読むのだろうか。

at 23:36│Comments(0) 日々の戯れ言 

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