中国語の日。切磋琢磨出来ればいいなー。

2006年12月01日

緊急討論。

気が付くと早くも師走。時間が流れるのは本当に早いものだ。

大学の東アジア研究所主催のシンポジウム「緊急討論 北東アジア情勢 北朝鮮、中国、日中関係」に出席。なぜ緊急討論か、という理由がなかなか面白かった。これは出た人は分かること。

討論のメンバーも、中国研究や朝鮮半島研究の大御所揃いで豪華なものだ。慶應の学部長二人、研究所長一人、東大教授一人、と権力的にもばっちり(笑)。そんな冗談はともかくとして、現状を論じる討論会としては珍しく、内容も充実していた。討論メンバーがテレビで断片的に発言していることをある程度体系的に聞くことが出来たといったところだろうか。

とりわけ重要だと思ったのが、「北朝鮮の核実験によって、関係各国の地政学的な立場が明確になった」という指摘。しかし、それでは日本がどのような立場なのかということに関する指摘は曖昧なものだった。この点を疑問に感じて、質問をしてみたのだが明確な回答は得られず。自国を分析することの難しさのようなものを感じてしまう。

まー、日本の立場が分かりにくいというのは外国からしてもそうなのかもしれない。だからこそ、日本の核武装論といったものが中国やアメリカで注目されるのだろう。

この半年弱の北東アジア情勢は、学問的に非常に興味深い。この危機が本当に深刻にならないことを祈るが、それでも、30年後に資料が開いたら…、とついつい妄想してしまう。



新書を読んでいる暇などあまり無いはずなのだが、先月半ばからある程度の数を読んでいる。新書は読むのにそれほど時間がかからないので、まあいい息抜きだと思えばいいのかもしれない。

で、今日は『中村悌次オーラル・ヒストリー』関連で読んだ新書を書評。このオーラルと関係がある新書など一つしか無いのは分かる人にはすぐ分かることである。良くも悪くも新書らしい新書、という印象。

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阿川尚之『海の友情』(中公新書)
 東郷平八郎や山本五十六など帝国海軍の英雄達についてはよく知られているが、戦後海上自衛隊を創設して訓練にはげみ、戦うことなく名を知られぬまま去った指揮官たちは、戦前の大将たちに負けず劣らず国のために尽くした英雄であると著者は言う。
 本書は、1980年代に国防総省で日本課長を努め、また『よみがえる日本海軍』の著者としても知られるジェームズ・アワーと海上自衛隊との交流を通してアメリカ海軍と海上自衛隊を描いている。魅力的な日米両「海軍」の指揮官達、そしてその周りに位置した様々な民間人、本書は様々な形の「海の友情」を活写している。ある書評では、著者の父・阿川弘之を引き合いに出し、海軍(海上自衛隊)は親子二代にわたる良き語り手を得た、と本書が紹介されていた。『中央公論』誌上での連載を基にしていることから各章の長さもほどよく、読み物として実に読みやすく仕上がっている。また、インタビューによって得られた様々なエピソードが紹介されており、飽きることなく一気に読み通すことが出来た。新書という媒体にうまくマッチした好著である。
 やや学術的に考えれば、国益を巡って様々な相克もあったアメリカ海軍と海上自衛隊の関係を、「海の友情」として語ることには問題がある。これは本書の登場人物の一人である中村悌次元海上幕僚長のオーラル・ヒストリーなどを読めばよく分かることである。とはいえ、複雑な日米関係の中に本書で紹介されているような一面があったこともまた事実なのであろう。

at 23:51│Comments(0) 本の話 

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