2006年11月25日

色々な人と再会。

午前中は、昨日に引き続きシンポジウム(第4回慶應義塾大学21COE-CCC国際シンポジウム)へ。昨日は院生の報告会だったが、今日は他大学の教授も含めたシンポジウム。参加した(話を聞いただけだが)セッションは、日本語かと思いきや英語という誤算。まあ、聞くだけならいいのかな。色々な意味で、司会の大切さが分かったセッション。これは出た人ならよく分かる話。

ここで、前々から研究会や授業などでお世話になっている先生と遭遇。新著(『パクス・ブリタニカのイギリス外交』)が週明けにも出るとのこと。『古典外交の成熟と崩壊』などに親しんだものにとっては、楽しみでならない本。ロイヤル・ネイヴィー研究会ファンクラブの第二回会合も近い。

午後は、輩達と再会。といっても、この前会ったばかりだが…。とりあえず酒を飲む。地酒を飲んでいると、偶然にも三重在住のゼミ仲間に遭遇。

で、その後はまた院棟にこもって授業の準備。今日は外交文書を離れて、オーラル・ヒストリーを読む。オーラルの資料としての限界は重々承知しているが、現代史ではオーラルの意義は大きい。資料にある種の補助線を引いていくといったところだろうか。が、今回は防衛関係なので、読むだけでもなかなかしんどい。専門用語がよく分からない。

夜は今日留学から帰国したばかりの後輩と飲む。約10ヶ月ぶりの再会のはずなのだが、何の違和感もなし。留学帰りの後輩との会話は知的に刺激される。

人に会ったり、勉強したりで終わりかというと、そんなことは無く最近出た新書を読んでみたり。

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村田晃嗣『プレイバック1980年代』(文春新書)
 学問の世界だけでなく、「朝まで生テレビ!」などテレビでも活躍している国際政治学者による1980年代論。著者自らがあとがきで「いささか猥雑な本になってしまった」と述べているように、政治や経済といった硬い話だけでなく、当時の風俗一般についても広く取り上げている。やや駆け足ではあるものの、本書は1980年代の日本を社会を満遍なく概観しており、その時代感覚を掴む大きな手がかりの一つになるだろう。各年ごとに章が区切られており、どこから読み始めてもよいだろう。戦後日本は1980年代に「坂の上の雲」に登りつめた、というのが著者が提示する1980年代イメージである。政治は保守で比較的安定し、経済は繁栄を謳歌している、ということを考えれば確かにそのとおりかもしれない。
 本書と同様に1980年代を取り上げて時代論を展開している本はいくつかある。やや学術的なものとしては、原宏之『バブル文化論 <ポスト戦後>としての一九八〇年代』(慶應義塾大学出版会)があり、また本書と同じく新書では大塚英志『「おたく」の精神史 一九八〇年代論』がある。前者はまだしっかりと読んでいないのだが、この両者はいわゆる「サブカル」を中心に1980年代を論じている点で共通している。
 こういった1980年代論に対して本書は、(国際政治学者の本なので当然かもしれないが)国内政治や国際政治に焦点が当てられていることにその特徴がある。それでは、本書が「硬い」本なのかといえばそれは前述したとおり違う。硬軟織り交ぜて様々な角度から1980年代に光を当てている。個人的に面白かったのはその年の「レクイエム」として毎年の故人を紹介していることである。自分が生まれた年にはこの人が死んだのか、などとついつい思ってしまう。
 さて、本書にはもう一つの特徴がある。それは、本書が著者の個人史に重ねられていることである。本書の始点は1980年ではなく、著者の生年である1964年である。確かに日本の戦後史の中で1964年の持つ意味は非常に大きい。ここでは、「先進国クラブ」であるOECD加盟と東京オリンピックを挙げておけば十分だろう。1964年に始まる本書は、その後1970年代を概観し、1980年代の各年はそれぞれお「プレイバック」している。途中、著者は大学に入学し、さらに大学院に進学する。そういった著者自身の成長やその時々に感じたことが、本書の様々なところに挿入されている。著者と同じように大学院に進んだ自分からすると、こういったのはちょっと気恥ずかしいなとも思うが、読者にとって一学生の時代に対する考え方というのは貴重な情報である。
 320頁という分量は新書としてやや長めであるが、テンポ良く時代が進んでいくので、意外なほどに一気に読めてしまう好著である。著者がその専門分野で1980年代をどのように描くのかということが気になってしまう。

at 23:34│Comments(2)本の話 

この記事へのコメント

1. Posted by もちづき   2006年11月28日 00:08
お久しぶりです。副島さん帰ってきたんですか?いやーいいですね。あと、ちょっと思っただけなんですけど、『バブル文化論』はサブカルの本ではないかもしれません。原さん自身なんて書いてたか忘れちゃったんですけど、たぶん「むしろメインストリームの文化論を」って感じで書かれた本だと思います。いい本です。
2. Posted by 管理人   2006年11月28日 01:27
久しぶり。帰国した人はそのとおり。まだ行ったばっかりだけど、もちづきの帰国も楽しみに待ってるよ。『バブル文化論』は買った時にパラパラと読んだよ。あれを「サブカル」としちゃうと、確かにちょっとミスリードかもね。80年代の消費文化なんかが中心の気もするし。ただ、いわゆるハイ・カルチャーを論じているわけではないんだよね。まあ「80年代にハイ・カルチャーなんてものが無かった」「消費世界は幸福に結びつかなかった」といった感じが『バブル文化論』の議論の気もするけど…。しっかり考えるとなかなか難しい問題。ま、いい本だよね。

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