2006年09月13日

迷走。

だんだんと修士論文の構想発表が近づいてきた。が、なかなかまとまってこない。ぼんやりした情報が整理されていない問題意識がありつつも、それをどうやって論文という形に持っていくかを模索する毎日だ。

先輩やら後輩やら色々な人と話してみたり、思いつくままにパソコンに打ってそれを整理してみたり、道のりはなかなか遠い。

昨日読んだ本↓

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渡邉昭夫『大国日本の揺らぎ 1972~』(中央公論新社)
 中央公論新社の「日本の近代」シリーズの1冊。「日本の近代」シリーズは前半の8冊が時代ごとに分担執筆形式の通史、後半の8冊が個別テーマという体裁になっている。通史、個別テーマともにどれも水準が高くシリーズ全体としても面白い。本書は前半8冊の最後、つまり通史部分の最後を飾るものである。
 本書は「1972~」と副題が付けられている。1972年とは、すなわち沖縄返還の年であり佐藤内閣退陣の年である。「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、わが国にとって戦後は終わらない」という佐藤栄作の言葉に従えば、1972年は「戦後」が終わった新たな時代の始まりといえる。とはいえ、本書の記述は必ずしも「1972年~現在」にはなっていない。本書は佐藤政権が発足する少し前から記述が始まり、事実上は大平内閣でその筆は終わっている。最終章では、80年代の日米貿易摩擦に1節を割いているし、エピローグでは90年代についても触れているが、大平内閣期までの内政から外交まで幅広く取り上げていることと比べると、やはり重点が置かれていたのは佐藤内閣~大平内閣と言えるだろう。
 佐藤内閣~大平内閣の時期は、国内的にも国際的にも激動の時代であった。国際社会の中での日本について考えれば、佐藤内閣期に日本は経済大国としての姿を現し、そして大平内閣期には国際社会での責任ある役割が強く期待されるようになっていた。果たして日本はこのような時代をどのように生きたのだろうか。筆者はそれを「大国日本の揺らぎ」と表現している。言い得て妙、だろう。
 本書のような通史に求められるものは、分析視角の秀逸さや個別テーマへの深い考察ではなく、幅広い視点とバランス、そして記述の正確性である。筆者が国際政治学者ということもあり、やや国際政治の動きや外交面に記述が多く割かれているきらいはあるが、全体としては実にバランスよく時代を描ききっている。安心して読むことの出来る1冊である。

at 23:38│Comments(0)本の話 

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