2006年07月25日

レポート終了。

地域研究論特殊研究?のレポートを期限ギリギリに提出。ちなみに、もう一つ残っていた国際政治論特殊研究のレポートは昨日提出済、ということで前期の課題は全て終了。まだGRIPSの授業が1コマ残っているが、そっちはもぐらせて貰っているだけなので、ひとまずこれでM1の前期は終了。

ちなみに地域研究論特殊研究?のレポートでは、日中関係の基本構図と1980年代の意味について自分の考えを書き、国際政治論特殊研究のレポートでは通史とその他の国際関係研究との関係について若干の考察を行った。こうやって、ざっくりまとめると何を書いているのかよく分からないような気がしてくるが、要は授業の時に発表したことや発言したことを再構成しただけ。もっと時間をかけてちゃんとした形にしておきたい。



何となく『たそがれゆく日米同盟』からの流れで読んでしまったので↓

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手嶋龍一『外交敗戦』(新潮文庫)
 長く絶版になっていた名著『1991年 日本の敗北』の再刊。本書の副題は「130億ドルは砂に消えた」、これと旧題から想像できるとおり、本書のテーマは「湾岸戦争と日本」である。湾岸戦争に直面した日本が130億ドルもの資金援助をしたにも関わらず、クウェートの感謝広告に名前が載らず、外交的に「敗北」したことをは周知のとおりである。1990年代の日本政治を見ていると、外交当局者や政治家にとっての「湾岸のトラウマ」は1つのキーワードであるのではないか、と感じてしまう。その「日本の敗北」について、現時点で最も深く追求しているのが本書である。
 著者は様々な関係資料や日米双方の関係者へのインタビューを駆使して、「湾岸戦争と日本」というテーマに迫っていく。本書が単行本として出版されたのは1993年である。湾岸危機の勃発からわず3年ほどで出版されたとは思えないほどに、本書は極めて深く「湾岸戦争と日本」というテーマに切り込んでいる。これを可能にしたのは筆者の徹底した取材力だろう。そのインタビューや調査は日米両政権の中枢にまで食い込んでいるだけでなく、イランやシリアなどの在外公館関係者など一見周辺的とさえ言えるところまで取材対象をしっかりと広げ、その成果は見事に本書に生かされている。
 本書が優れているのは何より、そのテーマである日本の「敗北」見事にを描き出している点であろう。「敗北」は官邸が強い指導力を発揮できない中での「外務省・大蔵省の二元外交」によってもたらされた点がが大きいと本書は指摘している。仮にこの二元外交が無かったとしても、冷戦という特殊な時代環境の中で実質的に安全保障に関わることなく40年以上生きてきた日本が効果的な外交を出来たかは疑わしい。しかし、その「敗北」を決定的にした一因として二元外交があるという筆者の主張は明快であり、非常に説得的である。同時に本書が優れている点は日本の「敗北」を描くだけで終わっていない点である。本書は日本外交の様々な側面に光を当てている。それは先に述べた関係各所への徹底したインタビューによるところが大きい。例えば、シリアやイラクにおける日本のインテリジェンスが果たした役割は「敗北」ではない、日本外交の一つの側面である。
 もしかすると外交文書が公開されその全てを研究者が利用できたとしても、本書のある部分を越えることは不可能かもしれない。本書は、二元外交の結果として重要であるはずの「公電」がその意味を果たさなかった点、雨後の筍のように数だけは多かったタスクフォースの存在と役割にも踏み込んで分析している。これらの点は外交文書からはなかなか分からない側面である。何より、大蔵省と外務省の対立が大きな意味を持ったとしたら、この戦いは資料としては非常に残りにくいものであるからだ。
 同著者の『たそがれゆく日米同盟』と併せて、冷戦終結前後の日米関係に関する必読文献として強く推薦したい。

at 23:48│Comments(0)本の話 

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