2006年05月30日

僕たちの大根が…。

ちょっとショックな出来事があって凹んでます。

そんなことに気が付かずに読み終えた1冊↓。一昨日に書評した『戦後政治と自衛隊』の関連文献。とても面白い本なのだが…値段が難点。いくらかは自分で調べてください。

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佐道明広『戦後日本の防衛と政治』(吉川弘文館)
 著者の博士論文を基にした戦後日本の防衛政策に関する歴史研究である。19 50年から1983年までを具体的な検討対象時期とし、自衛隊を軸に分析が行われている。分析視角には「自主と同盟」であり、日米安保と自主防衛の間を揺れ動く日本の防衛政策の変遷を明らかにすることが本書の課題である。最終的にこの自主と同盟の葛藤は、中曽根政権が日米安保中心の政策を採ったことにより解消すると主張して本書は終わる。
 そもそも日本では資料的政治的制約もあり、戦後の安全保障政策に関する研究そのものがあまり多いとはいえず、さらに自衛隊を正面から取り上げた本格的な研究は皆無と言っていい状況であった。このような状況の中で、本書が1950年から1983年という30年以上の期間を分析したことの意味は大きい。戦後の安保政策に関する優れた通史としては田中明彦『安全保障』(中央公論社)があるが、田中の著作は日米安保条約に関しても多くの記述を割いており、必ずしも自衛隊に分析の主眼が置かれているわけではない。それに対して本書は自衛隊をめぐる政治を分析の中心に据え、さらに公開未公開の資料を用いて従来明らかにされてこなかった戦後日本の安全保障政策の変遷を解き明かしている。
 従来の研究と比べた際に面白い点をここでは3点だけ挙げておこう。1点目は、内局と制服組の対立である。この主張そのものはすでに定説となった感もあるが、本書では内局の論理の「大蔵省的」な特徴を詳細に分析すると共に、この対立の歴史的な変遷を解き明かしている。2点目は、陸上自衛隊と海上自衛隊(+航空自衛隊)の対立、もしくは違いである。そもそも発足の経緯から違う両自衛隊は組織理念や目指す性格も異なり、この両者の違いが戦後日本の安全保障政策にも影響を与えたのだという。こういった大きな視点は従来の個別的な研究からでは感覚としては分かっても実証が難しい。3点目は1970年代の安全保障政策についてである。従来、「中曽根構想」と「久保理論」は相対立するものと主張されてきた。しかし本書では資料を丹念に調べその歴史的な文脈を明らかにすることによって、両者が対立するものではなく、むしろ「久保理論」が「中曽根構想」の失敗を受けたものであり多くの共通点を持っていたことを明らかにしている。
 これらの他にも本書は様々な知見に溢れている。もちろん、本書が十分に解き明かしていない点もあるし、また資料の使い方に若干の疑問を感じる部分もあるが、それ以上にこうして1冊の本として戦後日本の安全保障政策が分析された意義が大きい。著者の近著であり21世紀まで検討時期を広げた『戦後政治と自衛隊』(吉川歴史文化ライブラリー)と併せて一読をお薦めしたい。

at 23:57│Comments(3)本の話 

この記事へのコメント

1. Posted by えせ女史   2006年06月01日 20:37
このタイトルの意味がようやくわかって、思わずニヤりとしてしまいました。笑
2. Posted by りんむー   2006年06月01日 21:41
どうも。院ゼミのスズキです。
いつも楽しく読んでます。
関係ないけど、音楽の好みが似ていますね。
3. Posted by 管理人   2006年06月02日 23:57
>りんむーさん
一瞬外国語学校での同学かと思いましたが、スズキさんでしたか。このブログにはあんまり批判めいたことを書いていないんで…ネットは「障子に目あり、壁に耳あり」状態ですから。基本的にはお薦めできる本を紹介しているだけなんですが、書評などに疑問を感じたら是非是非大学で会った時にでもお話しください。大学院は結構音楽好きな人多いですね。今年は時間にある程度余裕がありそうなのでフジロックに行ってしまいそうです。
>えせ女史
まー、そういうことです。それだけじゃないけどね。

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