2006年04月29日

GWスタート。

GWは映画三昧のつもりが、初日はBSでやっていた「タイタニック」をついつい観てしまいました。こんなスタートになるとは…。

去年のこの時期のブログを読み返すと…起床、読書、朝食、読書、昼食、読書、バイト、夕食、読書、就寝…とある。なかなか「有意義」なGWを送っていた、のかな? 結局、今年もこれとほぼ同じ生活になりそうだ。

起床、朝食、家庭教師、語学、読書、遅めの昼食、読書、語学、夕食、読書、就寝、といったところ。

でも今年はこの時期に約10日間の休みがあるのはとても有難い。授業で読まなければならない文献そのものは大体読んだので、1週間は「趣味」の世界に没頭できるからだ。

というわけで、ようやくロイヤル・ネイヴィーにたどり着きました。

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田所昌幸・編『ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ』(有斐閣)
一般的に19世紀から20世紀にかけての時代はパクス・ブリタニカと言われる。そして、そのパクス・ブリタニカを支えたのがロイヤル・ネイヴィー(イギリス海軍)である。本書は、このロイヤル・ネイヴィーに焦点を当てて19世紀のイギリス外交を検討している論文集である。各章を簡単に紹介しよう。序章では、本書全体の導入として総論的にロイヤル・ネイヴィーのイギリス外交における位置付けを論じ、さらに各章のテーマを紹介している。第1章は、奴隷貿易の禁止という問題を軸にパーマストン外交を紹介している。パーマストン外交は一般に「砲艦外交」というイメージが強いが、本章からはある種の「人権外交」をも行っていたことが見えてくる。第2章は、クリミア戦争に収斂する東方問題(オスマン・トルコ)に対するイギリスの対応を分析している。第3章は、帆船から蒸気船、木船から鉄・鋼鉄船への変化や、魚雷など新兵器の開発といった19世紀のRMA(軍事技術革命)が、ロイヤル・ネイヴィーにどのような影響を与えたかを論じている。第4章は、ロイヤル・ネイヴィーの人材供給や教育といった組織面に光を当てている。組織の近代化過程を分析することによって、広くイギリス社会の発展の中でのロイヤル・ネイヴィーの姿も明らかにされている。第5章は、1865年のパーマストンの死を1つの転換点として後期ヴィクトリア時代のイギリス外交(黄昏のパクス・ブラタニカ)を論じている。そして最後の第6章では、19世紀において常に世界第2位の海軍国であるフランスの海軍について論じている。19世紀のロイヤル・ネイヴィーを分析することには、様々な意味があることがこの短い紹介からも分かるのではないだろうか。入り口はロイヤル・ネイヴィーだが、出口にはもっと広いイギリス外交、世界の海軍力を巡る国際関係や、イギリス社会の発展、といった様々なものが見えてくる。このような各章の議論もとても面白いのだが、1冊の本として考えたときに本書が際立っているのはそのまとまりの良さである。日本では編著書というと、執筆者によって問題意識が大きく異なるただの論文集である事が多々ある。本書では、このような編著書の悪い点が一切姿を見せない。各章の論文はそれぞれ相互に有機的な繋がりを持っているし、各論文そのものの意味だけではなく、本書の中に各論文が収録されている意味が読んでいるとよく分かる。例えば、第6章の「フランス海軍とパクス・ブリタニカ」。この章があることによって、読者はロイヤル・ネイヴィーを絶対視することなく相対的に評価することが可能になる。また、文献目録・用語解説・索引といった付録も充実している(これらは学術書としては重要だろう)。このように、本書は各論文の内容も面白ければ、1冊の本としてもとてもまとまりがいいという素晴らしい1冊。何はともあれ一読をお薦めしたい1冊です。



自分の研究テーマに直接繋がるわけではないし(外交史という意味では同じだが)、この時代やテーマに興味はあったが特別詳しいわけでもなかったのだが、とにかく楽しみだった本。なぜかと言えば…執筆者のファンだという事に尽きる。

矛盾するようだが、自分の研究とは違うテーマ、だから素直に楽しめるともいえる。自分の研究に直接繋がるようなテーマであれば、読書というよりある種「史料読解」のようなものになってしまう。

もっとも、ただ「楽しい」だけではいけないのが大学院生。直接繋がらなくても自分の研究にどこかで繋げなければいけないんだろう。う~ん、楽しみにたどり着いたのにまたこうやって大学院生活について考えるとは。

at 23:55│Comments(0)本の話 

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