風邪気味?GWスタート。

2006年04月28日

回復↑。

昨日から何となく調子が悪かったのだが、今日半日ほど寝た結果回復。何となく週初めから間接が痛かったような気がしたのだが、風邪? だったのだろうか。ま、とりあえず大したことも無く治ったのだからいいのかな。数年前まで風邪を引くなど数年に一度だったのに…。



6限、日本外交(GRIPS)

今日の課題本は↓

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波多野澄雄『太平洋戦争とアジア外交』(東京大学出版会)

いつもどーり、発表レジュメを載せときます。今日は内容報告担当だったのでいつもとはちょっと形式が違う。というか、いつも模索中なので形式は違う。今回、先生から「内容報告では各章を2~3行でまとめてほしい」と指示が出た。というわけで次回以降は形式に関してはあまり迷うこともなくなるだろう。


本書は、太平洋戦争期の占領地の処遇(アジア解放)という問題を、広義の「戦時外交(対ヨーロッパ外交と対アジア外交からなる)」の一環ととらえ、政府内政治における議論の詳細を戦争の全般にわたって検討している。また、戦時外交における重光葵の役割に着目し、重光の外交指導に関して多くの章が割かれている。このような本書の分析から明らかになるのは、戦時にすでに「脱植民地化」をめぐる外交が存在したことであり、それが戦後にまで影響を与えていることである。このような見方はクリストファー・ソーンの一連の研究でも指摘されている。もっとも、ソーンの研究は英米からの視点であり、本書はソーンの研究を日本側から捉えたものともいえるだろう。

対象期間…1941年9月(開戦3ヶ月前の御前会議)~1945年4月(小磯内閣の終わり)

目的………?太平洋戦争期の占領地の処遇という問題を、広義の「戦時外交」の一環ととらえ、政府戦争の全般にわたって検討する。?また本書は、戦時外交における重光葵の役割を重視している。

分析方法…占領地の処遇を中心とした各問題に関して、外務省、大東亜省、陸海軍などの主要なアクター間の葛藤・妥協・調整の過程としてとらえる(軸となるのは外務省と陸海軍の対抗)。

構成………重光の対ソ・対中外交を考察している第10章をのぞいて時系列順に並んでいる。

全般的には上記2つの目的がうまく消化されている。詳細には立ち入らないが、1つの政策的問題に関する各アクターの葛藤・妥協・調整の過程を争点ごとに明らかにするという手法は本書の大半において成功されているといえよう。戦時のアジア解放は、?日本と連合国?日本とその占領下に入ったアジア諸地域?日本国内の政治集団間、という3つの舞台で繰り広げられた。本書の対象は?であるが、本書は??にも十分に目を配っている。

戦時外交における「戦後の問題」を取り上げていることから、本書の問題意識は太平洋戦争終結後にも結びつくものである。日本の戦時外交がアジアの戦後にどのような影響を与えたのかは一読後にもっとも興味が湧くことの1つだろう。

とはいえ、いくつか問題もある。まず、本書が戦時外交を取り上げているとしたら、それを構成する対ヨーロッパ外交(対ソ含む)と対アジア外交の関係といった全般的な見取り図が必要なのではないだろうか。第10章における限定的な言及では不十分である。

また本書に描かれる海軍は常に外務省案への抵抗勢力であるが、その文脈は軍事戦術的(戦略的?)な文脈であった。戦史と外交史の関係についても本書のようなテーマを扱う際には重要ではないだろうか。

先述のように本書ではその2つの目的がうまく消化されているが、やはり未消化部分も残っている。重光葵が本書の該当時期以外にどのような立場でありどのように動いたのかという点を見なければ、太平洋戦争期の重光外交を評価することは難しいだろう。とりわけ、戦後の重光に関しては気になるところである。

 
上記のレジュメからは伝わりにくいかもしれないが、本書は日本外交史の傑作だと思う。何よりもこのような難しいテーマを扱いながら、非常に抑制された筆致であるし、文章も非常にうまい。が、前回の教訓を生かし、本としての構成、提示した課題と提示された回答、といったところに注目してレジュメでは批判を試みてみた。それに対する先生からの反応には納得させられた。こういったディスカッションを毎週自分の専門分野に関して行うことが出来るのは贅沢なことだ。

先生が言うとおり、こうやって毎週毎週、博士論文を基にした本を中心に毎週研究書を読んでいくと、概説書や通史を読むのとは違う歴史のダイナミズムを感じることが出来て非常にわくわくさせられる。前期を通して毎週研究書を読んでいくことは自分の修士論文テーマを決める際にもとても参考になるだろう。

次週以降は戦後に入る、いよいよ本格的に専門領域に入ってくるだけに非常に楽しみだ。

at 23:59│Comments(0) 本の話 

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