開幕。つぶやき。

2006年04月01日

新年度スタート。

エイプリルフールなので、朝起きて母に「倖田來未って名前は江沢民から取ったらしいよ」と嘘をついてみる、んなわけあるかい、そんな新年度のスタート。ま~、今日は週末なので3日から本格的にスタートなんだろうけど。とはいえ、昨日までは大学に同じ学年の友人が何人かいたのが今日からは確実にいなくなる…はず。

そんな大学に行ってみると、経済学部だか商学部だかのゼミ試験があるらしく日吉っぽさをぷんぷんさせた新3年生で中庭が溢れている。あとは就活中の新4年生がパソコンと向き合っている。いつの年も4月の大学は過ごしにくいものだ。

というわけで俺も気分一新。日本外交の勉強を本格的に再開することにしました。

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若月秀和『「全方位外交」の時代』(日本経済評論社)
本書は副題に「冷戦変容期の日本とアジア 1971~1980」とあるように、1970年代の日本外交に関する実証的かつ包括的な研究である。筆者も本文中で指摘しているように、従来の1970年代の日本外交研究はそもそも数が少なく、あったとしても時期や対象が限られたものがほとんどであった。外交史の研究は外交文書の公開に依存する面がある。日本外交に関する本格的な研究はまだ佐藤政権期に入ったばかりであったのだ。そのような研究状況に対し、本書は、情報公開法を利用して数多くの外交文書を引き出し、さらに関係者へのインタビュー、当事者の回顧録などを丁寧に読み解くことによって、1970年代の日本外交について包括的に検討することに成功している。このような方法論は、外交文書の公開されていない時代を研究する際に参考になるものであるといえよう。本書は、冷戦が変容していく1970年代における日本外交を「全方位外交」と位置付けて議論している。佐藤政権後期と田中政権を「全方位外交の胎動」、三木政権を「全方位外交の停滞」、福田政権を「全方位外交の展開」、大平政権と鈴木政権を「全方位外交の終焉」とそれぞれ銘打っている。各章の細かい内容は本文中に適宜ある「小括」に詳しいのでここでは割愛するが、実証研究である本書の記述は資料に裏打ちされたものであり信頼がおけるものである。今後1970年代の日本外交を論じる際のひとつの基準となるものであるだろう。しかし、本書を通読すると疑問が浮かぶ。「全方位外交」は福田政権でその頂点を迎えるのだが、福田政権の末期にはデタントの後退と共にその限界が明らかになる。この点は本書でも指摘されているのだが、本書は「全方位外交」を支持している。それはなぜだろうか。結局、全方位外交がデタント期の一瞬においてしか機能しなかったのであればそれは非デタント期の日本外交の選択肢にはなりえないものであるのではないか。このような疑問に加え、本書は大平政権を「西側の一員」としての立場を強調したとして福田政権と対照的なものとして描いている。これらの点は今後議論となるのではないだろうか。

at 23:55│Comments(0) 本の話 

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