2005年09月24日

総選挙に関する若干の考察。

ゼミの合宿&大学院試験も終わってひと段落ついたので、以前からの予告どーり、今回の総選挙に関する若干の考察をします。今回は政治学的な考察をするというよりは、新聞に識者がコメントをするようなノリで書いてみました。もっとも、まとまった文章というよりは、ばらばらのコメントの寄せ集めみたいな感じだけど…。お前は識者か!というつっこみは受け付けませんので悪しからず。何か考えるところがあればコメントをつけて下さい。

◆◆◆

はじめに

9月11日に投開票が行われた今回の総選挙。結果は改めて指摘するまでもなく政府与党の圧勝。自民党は296議席を獲得、公明党の31議席と併せて衆議院の3分の1を占めるという空前の勝利である。これに、郵政法案に反対した議員の議席を加えれば潜在的な与党は350議席を超えることになる。このような結果になった今回の総選挙を我々はどのように考えればよいのだろうか。

小泉の勝利

まず考えたいことは自民党の勝因である。果たして今回の選挙で勝ったのは自民党なのだろうか。これは広く指摘されていることであるが、今回の選挙は「小泉の勝利」である。まず、その戦略。小泉がやりたい郵政民営化に自民党内から反対者が出たために、衆議院は5票という僅差で通過、参議院では法案が否決されてしまった。結果、小泉は衆議院を解散・総選挙に打って出た。森前総理は「観測気球」を上げていたという話もあるが、今回の解散には基本的には大多数の与党議員は反対した。その結果はどうか。圧勝である。また、派閥間政治という観点からも今回の選挙結果は面白い。まず、郵政反対派が党から出た(出された)ことによって、いくつかの反主流派閥は衰退した。さらに、小泉の出身派閥である森派や主流派の山崎派や二階グループは議員数を増やした。また、派閥に入っていない新人議員が大量に当選したことによって、80人とも言われる「小泉チルドレン」が生まれた。これによって、小泉は従来以上に派閥に気を使う必要が無くなったわけだ。

進む中央集権化

今回の総選挙は歴史に残る選挙であるといえよう。それは「小選挙区制」の定着であり、それに付随する中央集権化の進展である。今回の選挙の直接的な特徴は自民党の圧勝であるが、これをもたらしたのは「小選挙区制」である。現在、日本の衆議院選挙は300の小選挙区と180の比例代表の並立制である。従来、小選挙区制になっても政策論争ではなく「ドブ板選挙」が活発化しただけではないか、と言われてきた。しかし、今回の選挙ではこの定説は覆されたと言えるだろう。それは「刺客」が成功を収めたことと、都市部を中心に民主党から自民党へ多くの議席が移ったことによって説明できる。「刺客」の成功例として、小池百合子が圧勝した東京10区を挙げるのは容易であるが、それ以上に注目したいのは富山3区(綿貫民輔)や山梨2区(堀内光雄)である。これらは圧倒的な地盤と知名度を誇って、従来の選挙では綿貫・堀内がそれぞれ圧勝してきた選挙区である。前回の選挙で民主党候補に10万票以上の大差で圧勝した綿貫は今回「刺客」に2万票近くまで詰め寄られた。また、山梨2区は前回民主党が対立候補を立てることが出来なかったくらいに堀内の地盤が強い選挙区であったが、今回は「刺客」に900票差までに詰め寄られた。以上2つの選挙区はいわば従来の「旧保守」ともいえる選挙区である。このような選挙区においても小泉旋風が吹き、自民党後方が善戦したという事態は、選挙における中央集権が確実に強まっていることを意味する。結局、執行部から公認を貰えなければどれだけ看板と地盤とカバンがあっても苦戦するということが今回証明されたわけだ。もちろん地方での選挙と都市での選挙は異なる、しかしその結果についてはかなり近づいてきている、ということが重要なのだ。

公明党との関係

自民党が圧勝した結果指摘されているのが、自民党と公明党との関係である。結論からいえば、両者の連立が解消することは当面無いだろう。一番大きな理由は参議院である。現在自民党は参議院で単独過半数を持っていない。つまり公明党と連立を組まなければ、参議院で重要法案を通すことが難しい。また注目すべきは、今回の選挙での得票数である。ここでは大まかな数字しか挙げないが、今回自民党が小選挙区で獲得した票は約3300万票、一方比例で獲得した票は約2500万票である、公明党の比例で獲得した票は約900万票である。公明党が小選挙区で8人を当選させたことを考えると、今回の選挙で明らかになったことは自民党候補の公明党への依存がさらに深まっていることである。毎日新聞の記事に寄れば、比例での公明票が全く小選挙区で自民党に入らなかったとしたら、小選挙区での自民の獲得議席は126議席になるという。今回の結果からは93人マイナスとなる。圧勝の影に公明党の存在があることは自民党の選挙責任者はよくわかっているだろう。よって、このような選挙結果となっても公明党との協力関係は基本的に変わらないと考えられる。

民主党の今後

ここまで自民党の圧勝を中心に話を進めてきたが、民主党についてもコメントしておきたい。今回の結果を見て、民主党の今後に対する不安感が一挙に広まっている。政権交代は「当分起こらない」という意見もある。しかし、私はこの見方は正しくないと思う。なぜなら、今の制度が小選挙区比例代表並立制だからである。比例での議席が大きく変化することはない。問題は小選挙区である。小選挙区での民主党への得票数を100とした場合、自民党への得票数の約130である。実際の議席、民主党が52、自民党が219と比べるとそれほど大きい差ではない。もし自民党政権に対する批判が大きくなった時、民主党が自民党の1.3倍の得票を得ることがない、とは言い切れないだろう。民主党がいかに政党として成熟していないとしても、自民党のオルタナティブになれる政党は現在民主党しか存在しないのである。むしろ前回の水ぶくれから今回引き締まった分、民主党の中核となる議員の存在は際立った。今回の選挙で小選挙区を通った民主党議員こそ中核となる存在だろう。その中核の議員がこの不利な状況でどのように政治を行うかに民主党の将来はかかっているといえるだろう。

おわりに

最後に、今回の選挙の政治的影響について。今回の選挙では、小泉の想定以上に自民党が圧勝したことは間違いない。東京で、比例名簿の人数が足りなかったことなど象徴的である。想定以上の圧勝の結果、小泉の政治基盤は限りなく強化されたといえる。外交上はこれによってイニシアティブをとり易くなったし、また内政においても自民党内をまとめればある程度思い切ったことも可能になっただろう。問題はポスト小泉である。ポスト小泉の自民党総裁は、非常に不利な立場におかれる。なぜなら小泉が先送りした重要かる政治的に難しい問題が山積しているからである。財政再建とそれに伴うであろう消費税引き上げ、憲法改正、対アジア外交などがそれである。どの道を進んだとしても今回の選挙を超える勝利は難しいだろう。今後の政治は、ポスト小泉を考えながら政策課題を見ていく必要がある。なお、憲法改正をめぐっては大規模な政界再編が起こる可能性もあることを最後に指摘しておきたい。

at 15:12│Comments(0)アウトプット(?) 

コメントする

名前
URL
 
  絵文字