1970年代の東アジア国際関係を考える。31℃。

2005年07月15日

夏休みスタート(?)。

昨日、チャイ語の試験が終わったということで、今日からは夏休み。えーと、正確には試験が3つ、レポートが1つ残っているけど、気分は夏休み。夏休みは好きなんだけど、夏ばてが怖い。今年の夏は、高校時代のように走って体をいじめて、夏ばてを克服しようと思う。

そんなこんなで、「夏休み」初日に何をしたのかというと…結局、大学行ってるし。友達とだらだら話しつつ、語学と読書。今日読み終えた本は、今月出たばかりの本なんだけど予告が出た時から楽しみにしていた本。といいつつ読み終わるのが遅れたのは、一緒に出た『帰ってきたもてない男』を先に読んだからだったりする…

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佐藤卓己『八月十五日の神話』(ちくま新書)
筆者は『キングの時代』『言論統制』などで知られる気鋭のメディア史家。本書では「終戦は8月15日」という「神話」がメディア(具体的には、新聞、雑誌、ラジオ、歴史教科書など)においてどのように形成されたのか、がテーマとなっている。そもそも「終戦」なのか「敗戦」なのか、ポツダム宣言受諾を連合国に伝えたのは8月14日ではないのか、8月15日は国民向けに天皇のラジオ放送があっただけではないのか、降伏文書(正確には休戦協定)に調印したのは9月2日ではないのか…などなど、このような問いを掲げメディアという史料を渉猟していった成果が本書である。筆が走っているが、滑っていない、という絶妙のバランス。現代的な問題意識を根底に持ちつつも、あくまで実証的。バランスの良さが際立った面白い本だ。本書で一貫して語られているのは、歴史的記憶(ここでは終戦/敗戦をめぐる記憶)は後から様々な形で作られるということ。なぜある人は「あの戦争」の終わりを「敗戦」というのか、またある人は「終戦」というのか。この背後にある考え方にまで踏み込んで論は展開していく。話の本筋に出てきたものではないが、教科書問題などが中韓両国で話題となって歴史問題に注目が集まることは「ネガティブ・インテグレーション(否定的統合)」を果たし、国民国家を維持する上で欠かせない共通のアイデンティティ形成には重要な役割を果たす、という指摘はなかなか興味深かった。この議論は「日の丸・君が代」反対といったケースでも同様であろう。このような興味深い「豆知識」が適度に散りばめられているのも、本書の面白いところ。内容も面白いが、歴史学の面白さも実感させてくれるいい本、お薦めです。

多分、この本には多くの書評が出るんじゃないだろうか。注目していきたい。

こうして本を読み終えた後メールをチェックすると、先日図書館に入れておくれとお願いしていたオーラルヒストリーのうち在庫がGRIPSに残っているものが図書館に入ったとのこと。『大河原良雄オーラルヒストリー』『菊地清明オーラルヒストリー』『海部俊樹オーラルヒストリー』など。どれも電話帳みたいに重い。多分、オーラルヒストリーだけで15冊くらい読まなくてはならないんだけど、きつくなってきた気がする。面白そうだから読むけどね。

at 23:11│Comments(0) 本の話 

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