2005年07月03日

静かすぎる日曜の三田。

朝、都議会選挙投票後、三田へ。はっきり言って共産党を除いてオール与党状態の都議会なんて興味ないんですが、一応政治学科生として投票してきました。夜帰ってきて、投票した候補者の当選を確認。これが民主主義の実態かと思うと…悲しい。ま、民主主義は「平和裏の体制移行」にこそ意味があるんだろうから、これでよし。

日曜日は図書館が13時からしか開いていないので、エクセルシオールでコーヒーを飲みつつ時間をつぶす。13時になって大学へ移動するも、夕方からバイトなので早々と退散。図書館、もっとやる気を出して朝から開けて欲しい。

今日は、ヴィクター・チャ『米日韓 反目を超えた提携』を読み終える。とりあえず書評↓

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ヴィクター・D・チャ『米日韓 反目を超えた提携』(有斐閣)
筆者、ヴィクター・チャは韓国系のアメリカ人で現在はNSC(国家安全保障会議)のアジア部長(日本・韓国担当)をしている気鋭の学者だ。本書は、日韓関係を「疑似同盟(quasi-alliance)」と定義し、両国のアメリカとの関係を手がかりに日韓関係を分析している。ここでいう「疑似同盟」とは、共にアメリカという同盟国を持ち、さらにソ連・中国・北朝鮮・という共通の脅威対象を持ちながら、過去の歴史的経緯もあって同盟関係には至っていない日韓両国の関係を定義したものだ。本書はいわゆる通史的研究に分類出来る。分析枠組みとなるのは「疑似同盟」論である。その定義は上記の通りであり、第2章で具体的にこれまでの同盟を巡る理論研究を批判的に検討しつつ分析枠組みを定めている。ここでは2つの仮説が提示されている。1つは、疑似同盟国家間の関係においてabandonmentとentrapmentの懸念が非対称的な構造を示している場合、やがて軋轢が生じるというものである。もう1つは疑似同盟国家間の関係において互いに同盟国(=日米韓の事例ではアメリカ)からabandonmentされる懸念が対称的な構造を示している場合協力関係が生まれる、というものである。分かりにくいかもしれないが、「反目」が基本的な前提となっている日韓関係においては、アメリカから「見捨てられる」と日韓両国が共に感じた場合には、日韓両国の協力が進展する、ということであり、そうでない場合は軋轢が生じるということである。この仮説に基づいて日韓関係に通史的な分析を加えているのが本書である。具体的な内容は読んでくれればいいので割愛するが、本書はとても優れた本で、読み応えもあるということを強調しておきたい。関係が近いだけに冷静な判断を欠きがちな日韓関係の冷静な分析でもあり、非常に有益である。

とまあ、この本については監訳者の船橋洋一と同じく俺もべた褒めしておきたい。日韓関係だけではなく日本外交全般を考える上でも必読文献となるんだろう。もっとも、外交史を専攻しようと思っている俺からすると突っ込みたくなるところも多々ある。やっぱり日本語の資料を使っていないからだろうが、やはり日本政治への理解が甘い。岸信介・佐藤栄作・福田赳夫が「頑迷な保守派」でひとくくりにされていたり、沖縄返還交渉時に取引材料となった「韓国条項」をそのようなコンテクストを抜かして日韓関係の協調だと評価してみたり…などなど。参照している文献についても歴史家的な視点からするとやや疑問を感じる。とはいえ、これらのことから、この本の価値が下がるわけではないのも確か。やっぱり東アジアやるなら、日本語・英語・中国語・ハングル語・ロシア語の全部が出来ないといけないのかな、なんて感じる。無理無理。

日韓関係については過去何回かこのblogでも取り上げている。反日運動の時とか書評とかで。とりあえず最近色々と考えているわけなんだけど、1つだけ強く感じることがある。歴史問題という時に、その歴史は「日帝36年」(1910~1945)を指す。でも日韓両国はその後、60年間に渡って歴史を積み上げてきている。この60年の「歴史」にももう少し注意すべきではないだろうか。もちろん日本の過去の行為を否定したりする意図はない。でも過去、日本がどのようなこと韓国にやっていようと、その後60年経って解決が付いていないのは過去が悪いというよりは、60年の歩みが悪いとしかいいようがない。

こんなことを考えつつ…水曜日はゼミのゲストスピーカーにパク・チョルヒー国立ソウル大学教授が来る。どんな話になるのか楽しみだ。

そういえば慶應にパウエルが来るらしい。ゼミの掲示板はコリン星からパウエルが来る、とか言って盛り上がっている。いいゼミです。

at 23:22│Comments(0)本の話 

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