2005年05月24日

心を動かされる。

NHKのHi-Visionで小野田寛郎の特集番組をやっていた。

小野田寛郎は1974年にフィリピンのルバングから帰国した「最後の日本兵」として知られている人で、現在はブラジルで農場を経営している。NHKの番組紹介は以下のとおり

戦前、戦中、戦後を生き抜いた小野田寛郎。太平洋戦争終結から29年後、フィリピン・ルバング島から帰還した「最後の日本兵」である。しかし帰国した小野田を迎えたのは、あまりに変わりすぎた日本社会と日本人。不信感と絶望感を募らせ、牧場を経営しようとブラジルへ渡る。「一個人として生きる力を日本に見せつけるために」原野や異文化を相手に格闘の日々を送り、現在は、1800頭もの牛を牧場で育て、ブラジル名誉州民権も得ている。
そして今、彼は残された時間を「日本の子どもたち」のためにささげようとしている。「どんな時代、どんな状況でも生きていける強さをもってほしい。」生きることの大切さ、人間としての責任感を教えることを人生最後の仕事と決めたのだ。フィリピン、日本、ブラジル・・・それぞれの時代とどう向き合い、どう生き抜いてきたのか、小野田寛郎のインタビューを軸に振り返る。


本当によく出来た番組。インタビューを中心にしつつも、要所要所で当時の映像を盛り込み、時代背景の説明もされている。映像メディアならではのいい構成だ。なぜ、29年もジャングルに留まり続けたのか? なぜ、日本帰国後1年余りでブラジルへと旅立ったのか? といったことや、現在の彼の活動を通して、その哲学へと迫っている。

それにしても彼の人生は壮絶だ。日本の敗戦という事実を知りながらも、自らの判断でそれを信じない。ここには陸軍中野学校出身という経歴も影響しているようだ。そして戦友3人でジャングルへ潜伏、当初はアメリカ軍と後にフィリピン軍と交戦しながら29年にわたってジャングルで生活を続ける。潜伏生活の晩年に相次いで戦友が死亡し、復讐心に燃えるも、ある日本人の青年に会ったことをきっかけにして帰国。この帰国までの経緯がまたすごい。かつての直接の上官による「帰還命令」がその条件だったのだ。戦後29年間も彼は戦争を生き続けた。

彼は自ら生粋の自由主義者であり民主主義者であったという。しかし、自分は兵士になった。だから、兵士としての自分の生き方を貫いたのだ。帰国後のインタビューで、つらかったことは「戦友を失ったこと」。うれしかったことは「今(帰国)まで一度もありません」と答えている。

帰国後彼の元へ全国から見舞金が寄せられた。しかし彼はこれを全額靖国神社に寄付した。結果、「軍国主義者」といった誹謗中傷が行われるようになった。彼はこれをきっかけにブラジルへ旅立った。自分は何も変わっていない、周りが変わった、30年前にはみんな何を言っていたのか。彼はそう思ったという。なぜ、自分が非難を受けなければならないのか。こうして「喧嘩」をするなら、ここでは生きていけない。彼はそう考えてブラジルへ旅立った。53歳の時である。

周りのせいにして文句を言うのではなく、自らが飛び出していく、逃げているわけではない、新たな挑戦をするためにブラジルという新天地へ飛び立ったのだ。この前向きな姿勢に感動した。小野田寛郎のいうこと全てに同意するわけではない。しかし、この前向きな姿勢、80を越えてなお現役で活動する「生きる力」に心を動かされた。

いや~、久々にNHKのいい番組を観た。

at 23:23│Comments(1)エッセイ風 

この記事へのコメント

1. Posted by ちゅう   2005年05月25日 00:59
文面から興奮が伝わってきたね~。みたかったな~!!

コメントする

名前
URL
 
  絵文字