2012年03月31日

2011年度を振り返って

メモ代わりにtwitterを使うようになり、すっかりブログを書く習慣が無くなってしまいました。確たるものもないままに予告してみた博論執筆日記も結局書かず…。当面このブログはその時々の節目の記録や報告に使っていくことになりそうです。



さて今日で2011年度も終わりです。3年で博士課程を終えることができなかったことは痛恨ですが、それも含めて今年度の研究活動をまとめておきたいと思います。

気が付けばお世話になってきた先輩達もほとんどが大学院を離れてしまいました…。本当に時間はあっという間に過ぎていきます。



1年前の今日のエントリーを読み返してみると、「それなりに頑張ったつもりなのですが、論文として形になったのは1本だけでした」と書いていました。今年度はある時期から某先生のアドバイスもあり博士論文執筆に集中するために論文の投稿をしなかったので昨年度とは事情が少し違いますが、今年度も論文として形になったのは1本だけでした。

一昨年の国際政治学会(部会1「経済大国化」と日本外交の新局面)での報告ペーパーに加除修正を加えたもので、「第一次石油危機における日本外交再考― 消費国間協調参画と中東政策「明確化」 」という題名で学内紀要『法学政治学論究』第89号(2011年6月)に掲載されました。機関リポジトリのページからPDFファイルに飛べるので、関心のある方はこちら(リンク)をご覧ください。

もう一つ大きいものとしては、比較政治学会2011年度研究大会の報告です。「資源外交の比較政治」という分科会で「資源外交の構図―第一次石油危機前後の日本を中心に」と題した報告をしました。分科会のテーマに引き付けて論題は付けましたが、自分の研究の幅を広げる方向性を見極めるいい機会になりました。結果的には、この報告で打ち出した方向性とは少し違う形で博士論文はまとめることになりそうです。



以上のように形になったのは論文1本・学会報告1回だけでしたが、お誘い頂いた日米関係に関する共著2冊の原稿を仕上げたことも今年度の仕事です。

一つは博士論文でも取り上げるテーマについて書かせて頂いたもので、こちらは順調に編集が進んでいるようで6月頃に某選書の一つの章として収録される予定です。1万字強と短い字数で自分の研究テーマ(=日本外交)を日米関係の中に位置づけて考えるいい機会になりました。執筆メンバーも力ある若手研究者の方々がずらりと並んでいるので、本としてもお買い得なものになりそうです。刊行が近付いたらまたここで宣伝したいと思います。

もう一つはある財団に残されている演説記録を日米関係史の中に位置づけて紹介する本で、80年代前半を担当させて頂きました。博士論文のテーマと直接関係するわけではないものの、自分の研究テーマを後の時代に位置づけて考える機会になりました。実はこの原稿は既に昨年1月の段階で99%は終わっていたものなのですが、諸般の事情があり刊行が遅れています。現段階では4月中の刊行を目指して編集が進められていると聞いていますが…。こちらも刊行が近付いたらまた書くことにします。

また共訳者の先輩&後輩におんぶに抱っこでしたが、「ジョセフ・ナイ教授を囲んで アジアを考える日米」という『アステイオン』第74号(リンク)に掲載された座談会の翻訳を担当しました。これとは別に共著書の翻訳プロジェクトが昨夏から始まり、1つの章を担当させて頂いたので、順調に行けば来年度には出版になりそうです。

この他に様々なインタビュー・プロジェクトに加えて頂き、うまくいくと来年度にはいくつか公刊されることになるかもしれません。



ここに現段階の構想は書けませんが(これまでに発表したものからある程度は分かりそうですが…)、懸案の博士論文についても簡単に。

厳しくなる院生の置かれた状況を考えれば3年目で博士号を取得することが望ましいとはいえ、それはなかなか厳しいだろうこともあり、今年度の一つの目標は学内の基準をクリアして博士論文提出資格を得ることでした。博士論文提出資格を得るためには2本の論文を公刊した上で、年2回開催される学内の研究会で個別テーマと博論計画について報告し、審査に通る必要があります。これを済ませると博士候補生(PhD Candidate / ABD)になれるわけです。この目標は何とか昨年6月の報告会でクリアすることが出来ましたが、その後がなかなか苦しい状況です。

さらなる資料調査や研究の読み込みなど約半年間の準備を経て今年に入ってから本格的に執筆を始めましたが、「足で稼げる」部分をある程度書き終えてからスランプです。ここからが一番面白いところではあるのものの、ほぼ書けない期間が2週間くらい続いたので少し気が滅入りました。この1週間くらいは色々な方に相談に乗ってもらい、ようやく次の道筋が見えてきたように思います。何とか来年度の早い段階で提出まで持っていければと考えています。



このように書いてみると、それなりに順調に進んでいるように思えますし、色々な形で「褒めて」もらえることもあったので決して悪くはないとは思いますが、博論がある時期から停滞してしまったこともあり、自分としては大きな壁にぶつかっている感覚です。とはいえ、ここを乗り越えてこそ面白い研究ができると思うので、気分を変えて頑張ろうと思います。

プライベートでも実家を出て一人暮らしを始めたり、何かと今年度は動きが大きかったのですが、来年度は所属先が変わるわけでもありませんし、腰を据えて研究を進める一年になりそうです。公文書管理法施行後の外交記録公開に関する状況についてまとめたり、新しく研究会を立ち上げたりと、やりたいことはたくさんあるのですが、まずはいま取り組んでいる博士論文を提出しないことには何も始まらないので、何とか早く草稿を書き上げて師匠に持っていくところまで終わらせたいところです。

black_ships at 17:21|PermalinkComments(0)この記事をクリップ!日々の戯れ言 

2011年11月27日

久しぶりに更新

再び約3ヶ月ぶりに更新です。

と言っても、最近はもっぱらtwitterを中心に発信しているので、これといって書くべきことはありません、。

予告編としては、年内に徹底的に準備をして来年1月1日より博論執筆を開始するので、博論執筆日記をこのブログでやっていこうかなと思っています。

black_ships at 01:55|PermalinkComments(2)この記事をクリップ!

2011年08月17日

オーラル・ヒストリー

3ヶ月ぶりのブログ更新です。

詳しい近況はまたその内に書くことにして(と言いいながら書かないのがいつものパターンになっていますが…)、今日はツイッターでつぶやいたところ反響が大きかった研究関係の話を書いておこうと思います。



政策研究大学院大学(GRIPS)の「C.O.E.オーラル・政策研究プロジェクト」(リンク)でかつて実施されたオーラル・ヒストリーの一部がオンライン上で閲覧出来るようになりました(リンク)。



私が大学に入学した10年前までは、まだそれほど知られていなかったオーラル・ヒストリーですが、この10年の間に状況は大きく変わったと思います。政治関係のみならず様々な分野でオーラル・ヒストリーが試みられるようになり、商業出版される成果も増えてきました。もちろん「オーラル・ヒストリー」という言葉が紹介される前から日本には「聞き書き」の伝統がありましたし、様々な形で先人に対する聞き取りは行われてきました。聞き取り対象による違いは大きいと思いますが、10年前はまだ政治家や元官僚が自分達の経験を公にすることを前提に語ることはそれほど多くはありませんでした。こういった状況はこの10年で一変しました。依然として「大事なことは墓場まで持って行く」という文化が残っていないわけではありませんが、それでも多くの政治家や元官僚が口を開くようになっています。

こうした変化の牽引車となったのが、GRIPSの「C.O.E.オーラル・政策研究プロジェクト」です。

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『聞き書 宮澤喜一回顧録』(岩波書店、2005年)、大河原良雄『オーラル・ヒストリー 日米関係』(ジャパン・タイムズ社、2005年)、宮崎勇『証言 戦後日本経済――政策形成の現場から』(岩波書店、2005年)など、既にこのプロジェクトの成果を基に商業出版された本もありましたし、基本的にプロジェクトの成果物はGRIPSの図書館で閲覧することが出来ました。また、全てではありませんが、東大や慶應などの大学にはかなりの数の成果物が所蔵されていました。

このように、これまでもプロジェクトの成果は研究者に利用されてきましたが、今回、一部の成果のWeb公開が行われたことによって、これまで以上に利用が進むことが期待されます。Web公開されているデータはPDFであり、OCR処理されているので文字検索をかけることも可能なので、関連するオーラルには既に目を通しているという研究者にとっても大きな意味があるのではないでしょうか。

オンライン上での閲覧は、上記リンク先の検索ページから行うことが出来ます。全てをチェックした訳では無いですが、ざっと見たところ外交・安全保障関係では以下の人達のオーラル・ヒストリーがWeb上で閲覧可能です(50音順:括弧内はかつての役職)。

※名前をクリックするとPDFが開く一つ前のページに飛びます。

伊藤圭一(内閣国防会事務局長)
上原信夫(沖縄民主同盟青年部長)
扇一登(海軍大佐)
小田村四郎(行政管理事務次官、拓殖大学総長)
海原治(内閣国防会議事務局長)
海部俊樹(内閣総理大臣)
栗山尚一(駐米大使:①転換期の日米関係)
栗山尚一(駐米大使:②湾岸戦争と日本外交)
斎藤彰(アメリカ総局長)
夏目晴雄(防衛事務次官)
宝珠山昇(防衛施設庁長官)
松野頼三(自民党衆議院議員)
宮崎弘道(外務審議官、駐西ドイツ大使)
吉野文六(外務審議官、駐西ドイツ大使)
吉元政矩(沖縄県副知事)

この他にも政界、官界に広げればもっとWeb閲覧可能なオーラルがあると思います。

Web公開の可否は、おそらくインタビュイー次第なのでしょう。今後すぐに公開数が増えるということは無いと思いますが、聞き取り終了後10年といった区切りで増えることを期待したいところです。



以上のようにWeb上で多数のオーラル・ヒストリーを閲覧出来るようになったことは喜ばしいことですが、他方でこれまで以上に安易なオーラル・ヒストリーの利用が増えるのでは無いかという危惧が無いわけではありません。これは、オーラル・ヒストリーを研究にどのように活かしていくかということに直結する問題でもあります。

さて、ここからオーラル・ヒストリーを研究に活かしていく上での課題と、「C.O.E.オーラル・政策研究プロジェクト」以外のオーラル・ヒストリー・プロジェクトについても紹介しようかなと思っていたのですが、ここまで書いて疲れてしまったので、ひとまずこんなところで。


black_ships at 19:40|PermalinkComments(0)この記事をクリップ!アウトプット(?) 

2011年04月22日

今学期の授業

気が付けば、博士課程も3年目に入ってしまいました。運良く、今年度と来年度は金銭的な面をあまり気にせずに研究に集中出来る環境が整ったので、一日一日を大切に地道に研究を進めて行こうと思います。

気軽につぶやけるツイッターが便利でついついそちらを使ってしまうので、このブログをどう活用していこうか迷っていますが、ひとまず授業関係の備忘録代わりに今年度も授業の話はここに書くことにします。



東日本大震災の影響で授業開始が1週間強遅れたので、昨日ようやく全授業のガイダンスが終わりました。徐々に博士論文執筆に向けた作業も始めなければいけない時期ではありますが、色々と考えた結果、今期は以下の4つの授業を受講する予定です。

<火曜日>

2限:戦後日本政治史Ⅰ(学部)

休憩がてら学部のシラバスを眺めていたところ、オォっと思う講師の先生だったので初回の授業に行ってきました。

授業自体はオーソドックスなもので、レジュメが配布され、大体それに沿って淡々と講義が進むという感じですが、「内政と外交の連関」を重視し「日本の政治を取り巻く国際社会を意識して授業を進める」という辺りが、講師の先生らしく、なかなか楽しみです。

研究が進んでくると視野が狭くなりがちで、自分の研究を相対化する機会はなかなかありません。そこで、標準的な通史に改めて目を通したり、色々とやってみるのですが、やはり一番いいのは授業に出ることだと実感しました。学部生の時は当たり前のようにやっていたことですが、1時間半教室に座り自分の手でノートを取ると、頭の中がよく整理されます。初回は、「敗戦と統治機構の再編成」についての途中まで進みました。

研究が切羽詰まってきたら出られなくなると思いますが、この授業は、特に予習や準備が必要なわけでもないので、可能な限り聴講したいと思います。

<水曜日>

2限:国際政治論特殊研究

ravenhill

師匠の授業。昨年のこの授業は、David A. Welch, Justice and the Genesis of War, (Cambridge: Cambridge University Press, 1993) =博論ベースの研究書輪読でしたが、今年は、John Ravenhill, Global Political Economy, 3rd edition, (Oxford University Press, 2011) というIPEの教科書の輪読です。

「修士向けの授業だから取らなくてもいい」というようなことを言われましたが、師匠から国際政治経済学を大学院で学んだことは無かったので、いい機会だと思い、受講することにしました。パラパラと眺めた感じでは、学部の専門課程向けのオーソドックスな教科書です。特徴があるとすれば、理論よりも事象に重点を置いているところでしょうか。

<木曜日>

5限:プロジェクト科目Ⅰ(政治思想研究)

専門外にも関わらず、学部3年時に聴講し、修士課程入学以降はずっと受講し続けているプロジェクト科目(政治思想研究)は今学期も受講します。専門外の下っ端ということで、言いたい放題やってきたはずが、教室を見回すと同期が一人いるだけで、あとは全員後輩になっていました。う~む、参ったなという感じです。

予算が厳しくなっているらしく、今年度は学内の先生がゲストの中心になりそうだというのは、やや残念ではありますが、名前が挙がった方々がなかなか豪華メンバーだったので、今学期はこれまで同様に楽しめそうです。

<金曜日>

3限:アカデミック・ライティング(中上級)

今年度から講師の先生が変わったアカデミック・ライティング(中上級)を受講することにしました。4限に開講されているアカデミック・プレゼンテーションも出来れば取るようにと師匠からは言われていましたが、授業負担と博論執筆計画を考えて、ライティングのみにしました。来年度はプレゼンテーションも取ろうと思います。

まだ2回授業をやっただけなので、まだよく分かりませんが、課題が膨大というわけではなく、少ない課題に集中して取り組む形式の授業なのかなという気がします。英語の発信力は課題なので、1年間で少しでもレベル・アップすることを目指して頑張ろうと思います。


black_ships at 20:13|PermalinkComments(0)この記事をクリップ!ゼミ&大学院授業 | 日々の戯れ言

2011年03月31日

2010年度を振り返って(研究関係)

3月11日に地震が起きてから、落ち着かない毎日が続いていますが、今日で2010年度も終わりです。明日から心機一転、頑張って行くためにも今年度(の研究生活)を簡単に振り返っておきます。



博士課程も2年目を迎えた今年度はそれなりに頑張ったつもりなのですが、論文として形になったのは1本だけでした。それも、版元の情報を見ると今日が発売日となっていますが(リンク)、まだ手許には届いていません(苦笑) 「エネルギー安全保障政策の胎動―石油市場の構造変動と「対外石油政策」の形成、1967-1973―」と題した論文で『国際安全保障』という雑誌に載ります。

ちょうど1年前に公刊した論文(リンク)は、修士論文の一部を切り取って加除修正をしたものですが、今回の論文は博士課程に入ってから始めた研究で、時期としては修士論文で書いた時代の前史です。正直なところ完成度や満足度は1年前の論文の方が高いのですが、それでも研究成果が形になると、次の研究をもっと頑張ろうという気持ちが湧いてきます。

それから、昨年秋には国際政治学会で報告をさせて頂きました。これは報告後の記事に書いたので詳しくは書きませんが、研究の成果を示し、同時に課題が浮かび上がったという点ではとても貴重な経験になりました。報告ペーパーはおそらく来年度の早い時期に公刊出来ると思います。



形になったのは論文1本・学会報告1回だけでしたが、今年度はいくつか学外のプロジェクトに加えて頂いたのがとても貴重な経験でした。まだ形になるか分からないものばかりなので詳細は書けませんが、大学の中に閉じこもっていては見えてこない色々な課題が見えたのでとても勉強になりました。うまく行けば学術雑誌とは違う形で成果を出せそうなので、これは励みになります。

学会報告で感じたことと同じなのかもしれませんが、結局日々真面目に研究に取り組むことで知的な体力を付け、研究を蓄積していくことによってしか、見えてきた「課題」は解決しません。と、こう書くことによって自分にプレッシャーをかけてみます。

まだ形になっていないいくつかのプロジェクトに参加して感じたことは、とにかくうまく時間を使っていかなければいけないし、空いた時間を有効活用して研究に励まないといけないということです。これから1ヶ月くらいがちょうどこの空いた時間だと思うので、研究に励みたいと思います。



明日から始まる来年度上半期の課題についても簡単に。

大学院の制度上、博士論文を提出するためには、査読付きの論文を2本公刊した上で学内の研究会で博士論文計画を含めた形で1回報告し「合格」する必要があります。今回出る論文で公刊論文2本という条件はクリア出来たので、次の目標は学内研究会での報告です。7月に学内の研究会があるので、そこに向けて上半期は頑張ろうと思います。

それからもう1つ大きな課題は、6月にある学会報告です。企画から立ち上げた昨年の国際政治学会とは違い、今回は声をかけて頂いたのですが、気が付いたら段々と大ごとになってきた感じがしてきて、ちょっと困惑していますが、せっかくの機会なので大事に使わなければなりません。5月にペーパーを提出しなければいけないので、今はそのための資料の読み込みやアイディアの検討をしているところです。



今年度を振り返る上では、やはり震災とその後の状況に触れないわけにはいきませんが、これは改めて書きたいと思います。twitterでは色々と書いていますが、あまりの事態にまだ考えがうまくまとまりません。少しでも明日が良い状況になることを祈っています。


black_ships at 18:29|PermalinkComments(0)この記事をクリップ!日々の戯れ言